FXのスキャルピングとは、数秒~数分単位で新規注文・決済を完了させる取引手法です。
ポジションを保有する期間が短いため為替変動リスクが少ない、効率よく利益を狙えるなどのメリットがあります。
本記事では、スキャルピングの特徴や勝ち方やポイントをわかりやすく解説します。
一部FX口座でスキャルピングが禁止されている理由やおすすめのFX口座も紹介するので、参考にしてください。
※本記事は2023年1月18日時点の公開情報に基づきます。
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- ・ファイナンシャルプランナー/CFP®資格(日本FP協会)
- ・日商簿記2級
大学卒業後、金融機関にて個人営業を担当。資産運用の相談・保険販売などを経験する。退社後CFP認定を取得し、フリーのFPライターとして活動を行う。
スキャルピングは短時間で取引を完了させる手法
FXのスキャルピングとは、短時間で取引を繰り返し、少額の利益を積み重ねる取引手法です。
数秒や数分単位で取引を繰り返すため、1回あたりの損益は小さくなります。
他の手法と比較
FXの取引手法には、スキャルピングのほかにデイトレード・スイングトレード・ポジショントレードがあります。
それぞれの違いを以下にまとめました。
項目 | スキャルピング | デイトレード | スイングトレード | ポジショントレード |
---|---|---|---|---|
取引時間/回 | 数秒~数分 | 数分~数時間 | 数日~数週間 | 数週間~ |
取引回数/日 | 多い | やや多い | やや少ない | 少ない |
使用するチャート | 1分足~15分足 | 5分足~日足 | 1時間足~週足 | 日足~月足 |
利幅の大きさ | ~10pips程度 | 10~100pips | 100~500pips | 500~1500pips |
利益の種類 | 為替差益 | 為替差益 | ・為替差益 ・スワップポイント | ・為替差益 ・スワップポイント |
取引時間が短く、取引回数が多い順にスキャルピング→デイトレード→スイングトレード→ポジショントレードとなります。
取引1回あたりの利益は小さいですが、コツコツ積み上げることで大きな利益を狙えるのがスキャルピングです。
どの手法が正解というのはありません。自分に合ったスタイルを選ぶことが大切です。
FXのスキャルピングのメリット
FXのスキャルピングには、主に以下のメリットがあります。
- 価格変動リスクを下げられる
- 効率よく取引できる
- 取引が翌日にまたがない
価格変動リスクを下げられる
スキャルピングは、1回の取引が数秒~数分程度と短時間で完結します。
ポジションを保有する期間が短いため、取引1回あたりの利益は少なめですが、その分相場が大きく下落するリスクも小さくなります。
価格変動リスクが小さいと、ロスカットされる可能性も低いです。
効率よく取引できる
スキャルピングは1回の取引が数分で完了するため、仕事や家事・育児で忙しい方でも隙間時間で取引しやすいでしょう。
しかし、スキャルピングは一般的に小さい値動きのなかで利益を狙うスタイルなので、1日のなかでチャンスが何度も訪れます。
取引回数が多い分取引が成功すれば資金が増えやすいため、効率的な取引手法だと言えます。
取引が翌日にまたがない
ポジションを翌日に持ち越さないのもスキャルピングの特徴です。
1日のなかで新規注文と決済が完了するので、寝ている間の為替変動リスクがありません。
スキャルピングなら、就寝中に損失が大きくなる可能性がありません。
FXのスキャルピングのデメリット
一方、FXのスキャルピングにはデメリットもあります。
- 取引コストがかかる
- 集中力や素早い判断力が求められる
- 安定した通信環境が必要となる
取引コストがかかる
スキャルピングは短時間に取引を何度も行うため、取引コストが高くなりやすい点に注意が必要です。
多くのFX会社において取引手数料は0円ですが、取引ごとにスプレッドが発生します。
スプレッドは各社が為替レートにもとづいて決定しているため、FX会社によってさまざまです。
売値と買値の差が大きいことを「スプレッドが広い」と言い、反対に差が小さい状態を「スプレッドが狭い」と言います。
スプレッドが常に変動していると取引しにくいため、通貨ペアごとにスプレッドを原則固定としているFX会社が多いです。
集中力や素早い判断力が求められる
FXのスキャルピングは、小さい値幅・短時間で取引を行う手法であり、高い集中力が求められます。
また、短い時間のなかで利益確定や損切りの判断を行うので、素早い判断力も必要です。
瞬発的に判断するためにはある程度の経験が必要となるため、FX初心者にはやや難易度が高い取引と言えるでしょう。
安定した通信環境が必要となる
FXのスキャルピングは数秒~数分で取引を行うため、取引結果が通信環境に左右される点にも注意しましょう。
通信環境が不安定な状態だと、決済にずれが生じたり売買のタイミングを逃してしまう可能性があります。
短時間で取引を完了させるスキャルピングでは、数秒ずれるだけでも想定外の価格で決済することになりかねないので、良好な通信環境を整える必要があります。
FXのスキャルピングで利益を出すコツ
FXのスキャルピングで勝つためのポイントをおさえれば、利益を出せる可能性が高まります。以下のコツを知っておきましょう。
- スプレッドが狭いFX口座を選ぶ
- 取引量の多い通貨ペアを選ぶ
- 取引量の多い時間帯に取引する
- 約定力が高いFX会社を選ぶ
- 損切りの判断をすばやく行う
スプレッドが狭いFX口座を選ぶ
スキャルピングは短時間で売買を繰り返すため、取引回数が多くなります。
そのため、取引時の実質的なコストにあたる「スプレッド」の水準が重要です。
多くのFX会社は取引手数料が0円になっているので、選ぶ際はスプレッドに注目し、少しでも狭いFX会社を選びましょう。
取引量の多い通貨ペアを選ぶ
スキャルピングに慣れていないうちは、取引量が多く安定した通貨ペアを選びましょう。
以下のような取引量の多い通貨ペアは、流動性が低い通貨ペアと比べて値動きに変化があり、利益を得やすい傾向にあります。
- 米ドル/円
- ユーロ/円
- 英ポンド/円 など
取引量の多い時間帯に取引する
取引量が増え、値動きが大きくなりやすい時間帯に取引をすることもスキャルピングのコツです。
値動きが活発になると、短時間でも効率よく利益が得られる可能性が高まります。
一般的に、FX取引が活発になりやすいのは、以下3つと言われています。
- 東京市場
- ニューヨーク市場
- ロンドン市場
東京市場がオープンする9:00頃やニューヨーク市場とロンドン市場の時間が重なる日本時間21:00~翌2:00頃は、取引量が多く狙い目です。
約定力が高いFX会社を選ぶ
スキャルピング取引で利益を狙うには、約定力が高いFX会社を選ぶ必要があります。
FX取引では、仮に100円で注文を出したとしても、実際に100円で約定されるとは限りません。
FX会社のシステムの処理能力などに応じて取引スピードに差があるため、約定力が低いと、取引が成立しない、またはスリッページが生じてしまいます。
スキャルピングは小さな値幅で利益を狙う取引手法なので、約定率が低いと取引結果に大きな影響を与える可能性があります。
損切りの判断をすばやく行う
スキャルピングは、1回あたりの取引を数秒~数分で行うので、瞬発的な判断力が必要となります。
損切りの判断を瞬時に行えないと、大きな損失が生じる可能性も。損切りのラインを決めておき、感情に流されず機械的・冷静にすばやく判断するのが損失を抑えるポイントです。
FXのスキャルピングの注意点
FXのスキャルピング取引を始めようと考えている方は、注意点もチェックしましょう。
- スキャルピングが禁止されている会社もある
- 口座凍結のおそれがある
FXのスキャルピングが禁止されている会社もある
短時間で取引を繰り返すスキャルピングは、サーバーへの負荷が大きいため、FX会社によっては禁止されています。
例えば、インヴァスト証券の約款には、禁止行為として以下のような記載があります。
高頻度な回転売買等の取引を行い、当社が行うカバー取引に影響を与える行為
FXのスキャルピング取引をしたい場合は、事前に各FX会社の規約などを確認しましょう。
口座凍結のおそれがある
FXのスキャルピング取引を禁止しているFX会社で、短時間での取引を繰り返し行っていると、口座が凍結してしまうリスクもあります。
口座が凍結されてしまうと、そのFX会社で取引を行うことは難しくなるので、必ずスキャルピングを認めているFX会社で取引を行いましょう。
スキャルピングにおすすめのFX口座
FX会社によっては、スキャルピングを禁止しているケースもあるため、どのFX口座を選べば良いのか迷う方も多いでしょう。
そこで、スキャルピング取引が行えるおすすめのFX口座を紹介します。
- ヒロセ通商 LION FX
- GMOクリック証券 FXネオ
- 松井証券 MATSUI FX
ヒロセ通商 LION FX
HIROSE-FX | |
---|---|
取引手数料 | 無料 |
スプレッド | 0.2銭(米ドル/円) 0.4~1.6銭(ユーロ/円) 1.0銭(ポンド/円) 0.6銭(豪ドル/円) ※原則固定 |
最小取引単位 | 1Lot(銘柄ごとに取引単位が異なる) |
両建 | ◯ |
最大レバレッジ(個人) | 10倍 |
初回入金額 | 10,000円 |
通貨ペア数 | 51ペア |
デモ取引 | ◯ |
取引チャンネル | PC版 スマホアプリ版 |
ヒロセ通商のLION FXは、スキャルピング取引を公認している数少ないFX口座です。
公式ホームページにてスキャルピングが可能な旨が明記されているので、安心して取引できます。
スキャルピングは可能です。
パソコン、スマートフォン等、各アプリにスキャルピングに特化した「クイック注文」をご用意しております。
取引手数料が無料なのはもちろん、スプレッドの水準も狭いので、スキャルピング向きです。
また、処理速度が最速0.001秒(2020年7月現在)と速く、2023年オリコン顧客満足度ランキング「FX取引 システムの安定性」で第1位を獲得。
数秒のずれでさえ取引結果に影響を与えるスキャルピングに、最も適したFX会社と言えるでしょう。
GMOクリック証券 FXネオ
GMOクリック証券 FXネオ | |
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取引手数料 | 無料 |
スプレッド | 0.2銭(米ドル/円) 0.5銭(ユーロ/円) 1.0銭(ポンド/円) 0.7銭(豪ドル/円) ※原則固定 |
最小取引単位 | 1,000通貨 |
両建 | ◯ |
最大レバレッジ(個人) | 25倍 |
初回入金額 | 制限なし |
通貨ペア数 | 20ペア |
デモ取引 | ◯ |
取引ツール | はっちゅう君FXプラス GMOクリックFXneo |
FXネオは、株式や投信、先物、CFD取引などさまざまなサービスを取り扱う「GMOクリック証券」のFX口座です。
スマホで本人確認ができれば、最短当日に取引をスタートできるのが特徴。すぐに取引したい方におすすめです。
取引手数料が無料・スプレッドが狭く、取引時にかかるコストを抑えられるので、スキャルピングにも適しています。
- 米ドル/円:原則固定0.2銭
- 豪ドル/円:原則固定0.6銭
また、FXネオは7:00~22:00まで電話での問い合わせに対応しており、公式ホームページからコールセンターの着信状況が確認できます。
松井証券 MATSUI FX
松井証券FX | |
---|---|
取引手数料 | 無料 |
スプレッド | 0.2~1.2銭(米ドル/円) 0.5銭(ユーロ/円) 1.1銭(ポンド/円) 0.7銭(豪ドル/円) ※変動あり、2023年6月時点 |
最小取引単位 | 1通貨 |
両建 | ◯ |
最大レバレッジ(個人) | 25倍 |
初回入金額 | 制限なし |
通貨ペア数 | 20ペア |
デモ取引 | ◯ |
取引チャンネル | PC版 スマホアプリ版 |
松井証券は、1通貨から取引できる「MATSUI FX」を提供しています。
一般的なFX口座は1,000通貨からですが、MATSUI FXなら1通貨から対応しているので、少額での取引が可能。初心者でも始めやすくなっています。
米ドル/円が1ドル=100円の場合、約4円(レバレッジ25倍)から取引が行えることになります。
また、取引手数料は0円、スプレッドも狭めの水準です。
さらに、レバレッジのコースを1倍から選択できるのもMATSUI FXならでは。レバレッジなし・5倍・10倍・25倍から設定できるので、リスク調整が図れます。
FXのスキャルピングにおすすめなのはこんな人
FXのスキャルピング取引が向いているのは以下のような方です。
- 仕事や育児が忙しくまとまった時間が取りにくい方
- 短時間で効率よく利益を得たい方
- 集中力のある方
- 冷静に判断できる方
FXのスキャルピングは短時間でコツコツ利益を積み上げる手法なので、仕事や育児でまとまった取引時間を取りにくい方、短時間で利益を狙いたい方におすすめです。
また、集中できる方、感情的にならず淡々とこなせる方に適しています。
反対に、FXの取引経験が全くない方や集中力に欠ける方、判断力に自信がない方にはあまり適していません。
スキャルピングは他の手法と比べて難易度が高いスタイルではありますが、為替変動の影響を受けにくく、効率よく利益が狙えるなどメリットも多いです。
禁止されていないFX会社を利用し、無理のない範囲でスキャルピング取引を始めてくださいね。