口座に入金した証拠金を何倍かにして、手持ち資金よりも大きな金額でFX取引ができるレバレッジ。
少額取引でも利益を出しやすいFXのレバレッジは、上手に使いこなすことで投資の楽しみが広がります。
本記事ではFXのレバレッジの特徴と計算方法、メリットや注意点を詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
FX初心者向けおすすめ口座比較12選!開設方法と使い方を解説※本記事の価格は全て税込みです。
FXのレバレッジとは
FXのレバレッジとは、口座に入金した証拠金を元手に元金以上の金額の取引を行える仕組みです。
FXの正式名称は外国為替証拠金取引。証拠金取引の一種です。現物取引に比べて大きな利益を狙えることから、注目を集めています。
「てこの作用」を意味する英語「レバレッジ(leverage)」という名前のとおり、小さな資金でも大きな取引をできることがメリットと言えます。
- 「てこの作用」で資金を何倍かにしてFXができる
- 口座に入金した証拠金が担保になる
- レバレッジ倍率はレートと取引額によって変わる
- 日本のFX会社は倍率25倍までと決まっている
- 損失にもレバレッジが効いてしまうので要注意
次章より、FXのレバレッジについて詳しく理解するためのポイントを解説していきます。
FXのレバレッジは最大25倍
日本国内のFX会社では、最大レバレッジは25倍までと定められています。
当該規制のため、金商業等府令の改正により、次の2点が禁止行為(金商業府令第117条第1項第27号及び第28号)として追加されました。
FX取引に係る契約を締結する時において顧客が証拠金預託先に預託した証拠金等の実預託額※4が約定時必要預託額※5に不足する場合に、当該契約の締結後直ちに当該顧客にその不足額を証拠金預託先に預託させることなく、当該契約を継続する行為
営業日ごとの一定の時刻(以下、このページにおいて「証拠金率判定時刻」といいます。)における取引に係る証拠金等の実預託額が維持必要預託額※6に不足する場合に速やかに当該FX取引に係る顧客にその不足額を証拠金等預託先に預託させることなく、当該取引に係る契約を継続する行為((a.)に掲げる行為を除く。)
(a.)が新規建玉時、(b.)が営業日ごとの証拠金率判定時刻に係る規定で、業者等は、それぞれのタイミングにおいて、(a.)については直ちに、(b.)については速やかに取引額の4%以上の証拠金の預託を受けることなく、顧客に取引を継続させることができなくなります。
投資家の保護を目的としたレバレッジの規制は2010年から始まり、2011年8月には最大25倍に落ち着きました。
FXにおけるレバレッジは、口座に入金した証拠金を担保にして為替取引を行います。
証拠金額は同じでも、注文を出す時のレートと取引量に応じてレバレッジ倍率が自動的に変化するのが特徴です。
海外FX会社はレバレッジ100倍も
日本国内では上限が25倍となっているFXのレバレッジですが、海外だと100倍以上に設定できるFX会社もあります。
海外では日本のような規制がないため、より少ない資金でFXの高額取引が可能です。
しかし、レバレッジをかけすぎると大きな損失を出してしまう可能性も高くなるため、取引には十分な注意が必要です。
レバレッジの計算方法
通貨ペアのレートに購入する数量を掛け、口座に入っている資金で割るのがFXのレバレッジ計算方法です。
例えば口座残高が10万円あり、1ドル130円の時に1万通貨を取引する場合には、下記の計算式でレバレッジを計算することができます。
現在の為替レート×取引数量÷証拠金
(130×10,000)÷100,000=13
上記の例ではレバレッジ13倍であることが算出できました。
ロスカット(強制決済)とは
レバレッジ取引をする上で押さえておきたいのがロスカット(強制決済)です。
ロスカットは、証拠金維持率を一定以上割り込むと執行されます。証拠金維持率は次の計算式で求められます。
証拠金維持率(%)=純資産 ÷ 必要証拠金 × 100
ほとんどのFX会社では、証拠金維持率が100%を下回った時に顧客に対して通知(アラート)が発動します。
そして、証拠金維持率が80~50%を切ったタイミングで強制ロスカットが発動します。
強制ロスカットされると大きな損失になるため、注文の際は逆指値(ストップ注文)を設定する、損切りラインをあらかじめ決めておくなどをおすすめします。
国内と海外ではロスカットが異なる
海外FX会社は、日本のFX会社に比べてロスカットされにくいという特徴があります。
次の2つの理由があるからです。
- レバレッジ倍率が高い
- ロスカット水準が低い
海外の方が日本よりもレバレッジ倍率が高くなっていることは先ほど説明しましたが、加えてロスカット水準も低くなっています。
ほとんどの国内FX会社では証拠金維持率が50%を下回るとロスカットされますが、海外では20~30%、中にはロスカットなしというFX会社もあります。
レバレッジのかけ方
FXのレバレッジは、FX会社によって自ら倍率を選べるタイプと、25倍から変更できないタイプがあります。
- レバレッジ最大倍率が25倍固定のFX会社
DMM FX、GMOクリック証券など - レバレッジ倍率の設定を変更できるFX会社
楽天証券FX、松井証券FXなど
自分でレバレッジ倍率を選べる場合は、リスクの許容度に応じて倍率を設定しましょう。
なるべく低い倍率に抑えておくとロスカットの心配がなく、余裕を持って取引が続けられます。
一方、レバレッジ倍率の変更ができないFX会社でも、口座入金額を多めにして取引数量を抑えることで倍率を低くしたレバレッジの掛け方ができます。
たとえ高レバレッジでも証拠金維持率に常に気を配っておけば、ロスカットを防ぐことは可能です。
レバレッジ取引のメリット
レバレッジの最大のメリットは、少ない資金でも大きな利益が狙えることです。
レバレッジをかけずにFX取引をする場合、130円のドル円1,000通貨の取引には13万円の証拠金が必要になります。一方、レバレッジ25倍なら必要証拠金は5,200円です。
レバレッジをかけて必要証拠金を抑えればその分の取引数量を増やすことができるため、資金効率が良いのが一番のメリットと言えますね。
レバレッジ取引におすすめのFX会社
ここまで、レバレッジの特徴や計算方法、かけ方のポイントやメリットを解説しました。
次に実際にレバレッジ取引を行うために、おすすめのFX会社を紹介します。
- 楽天証券FX
- GMOクリック証券 FXネオ
- SBIFXトレード
- DMM FX
- LINE FX
楽天証券FX
楽天証券FX | |
---|---|
取引手数料 | 無料 |
スプレッド ※2023年4月時点 | 0.2銭(米ドル/円) 0.5銭(ユーロ/円) 0.9銭(ポンド/円) 0.6銭(豪ドル/円) ※原則固定・例外あり |
最小取引単位 | 1,000通貨 |
両建 | ◯ |
最大レバレッジ(個人) | 25倍 |
初回入金額 | 1,000円〜 |
通貨ペア数 | 28通貨 |
デモ取引 | ◯ |
取引ツール | マーケットスピードFX 楽天FX-WEB iSPEED FX |
- レバレッジ倍率が5コースから選べる
- 楽天経済圏だから投資にも買い物にも便利
- 各種手数料が完全無料
楽天証券FXは楽天グループが運営するFX会社です。
楽天証券FXでは、レバレッジを1倍・2倍・5倍・10倍・25倍の5コースから選べます。
楽天証券FXはレバレッジに加えてロスカット水準も設定できるため、強制ロスカットを防ぎながら長期で投資したい方にも適しています。
GMOクリック証券 FXネオ
GMOクリック証券 FXネオ | |
---|---|
取引手数料 | 無料 |
スプレッド | 0.2銭(米ドル/円) 0.5銭(ユーロ/円) 1.0銭(ポンド/円) 0.7銭(豪ドル/円) ※原則固定 |
最小取引単位 | 1,000通貨 |
両建 | ◯ |
最大レバレッジ(個人) | 25倍 |
初回入金額 | 制限なし |
通貨ペア数 | 20ペア |
デモ取引 | ◯ |
取引ツール | はっちゅう君FXプラス GMOクリックFXneo |
- レバレッジは最大25倍で変更できない
- スプレッドが業界最狭水準
- 高金利通貨ペアが揃っている
GMOクリック証券のFXネオはGMOグループが運営するFX会社です。
レバレッジ倍率は最大25倍で、設定の変更はできません。
高金利スワップポイントやバイナリーオプションなど、初心者の方でもさまざまな取引を楽しめます。
GMOクリック証券FXネオでは、以下のような高金利通貨ペアが揃っています。
- 南アランド/円
- トルコリラ/円
- メキシコペソ/円
レバレッジを効かせたFXトレードの他に、スワップポイント狙いの長期運用ができるのも魅力ですね。
SBIFXトレード
SBI FXトレード | |
---|---|
取引手数料 | 無料 |
スプレッド | 0.19銭(米ドル/円) 0.4銭(ユーロ/円) 0.68銭(ポンド/円) 0.48銭(豪ドル/円) ※2022年7月の実績 |
最小取引単位 | 1通貨単位以上 |
両建 | 〇 |
最大レバレッジ | 25倍 ※BRL/JPY、RUB/JPYは10倍 |
初回入金額 | 制限なし |
取扱通貨ペア | 34ペア |
デモ取引 | × |
取引ツール | リッチクライアント版取引ソフト WEB版取引サイト スマートフォン取引アプリ |
- レバレッジは最大25倍で変更できない
- マイナー通貨まで揃えた34通貨ペア
- 1通貨から1,000万通貨まで注文できる
SBIFXトレードはSBIグループが運営するFX会社です。
レバレッジ倍率は最大25倍。変更はできません。
業界トップクラスの通貨ペア数があり、1通貨単位からの少額取引ができるのもメリットです。
レバレッジ倍率は変更できませんが、1通貨単位からの少額取引で実効レバレッジを1倍に抑えることが可能です。
投資資金が少ない場合でも余裕を持って取引ができますね。
DMM FX
DMM FX | |
---|---|
取引手数料 | 無料 |
スプレッド | 0.2銭(米ドル/円) 0.5銭(ユーロ/円) 0.9銭(ポンド/円) 0.6銭(豪ドル/円) ※原則固定 |
最小取引単位 | 10,000通貨 |
両建 | ◯ |
最大レバレッジ(個人) | 25倍 |
初回入金額 | 制限なし |
通貨ペア数 | 21ペア |
デモ取引 | ◯ |
取引ツール | DMMFX PLUS DMMFX STANDARD スマホアプリ DMM FX 取引通信簿 |
- レバレッジは最大25倍で変更はできない
- 高性能の取引ツールとスマホアプリ
- 電話・メールに加えてLINEでも問い合わせ可能
DMM FXはDMMグループが運営するFX会社です。
レバレッジは最大25倍、設定を変更することはできません。
充実したサービスやデモ取引で、初心者の方でも安心してFXが始められます。
初心者向けのコンテンツやサポート体制が充実しており、無料のデモ取引ではリアルタイムのレートで練習できます。
LINE FX
LINE FX | |
---|---|
取引手数料 | 無料 |
スプレッド | 0.2銭(米ドル/円) 0.5銭(ユーロ/円) 0.7銭(ポンド/円) 0.5銭(豪ドル/円) ※原則固定・例外あり |
最小取引単位 | 1,000通貨 |
両建 | ◯ |
最大レバレッジ(個人) | 25倍 |
初回入金額 | 制限なし |
通貨ペア数 | 23種類 |
デモ取引 | × |
取引ツール | LINE FX アプリ LINE FX Pro |
- レバレッジは最大25倍で変更はできない
- LINEアカウントと連携できる
- 低スプレッドで1,000通貨単位から取引可能
LINE FXはLINEグループが運営しているFX会社です。
レバレッジは最大25倍。変更はできません。
LINEアカウントと連携することで登録がスムーズに済み、経済指標や為替の急変動など各通知がLINEで届くので便利です。
LINEと連携して手間をかけずにFX取引ができるため、毎日のスキマ時間でもこつこつ投資を続けられます。
FXのレバレッジで損失を出した場合
投資には必ずリスクがありますから、FXの取引でも時には失敗をして損失を出してしまうことがあります。
レバレッジ取引の損失は自分の手持ち資金以上の金額から発生することになるため、油断していると大きな損失を出す可能性があります。
先ほど紹介したように、130円のドル/円に1,000通貨で買い(売り)注文を出す場合、レバレッジなしだと13万円が必要ですが、最大25倍のレバレッジでは5,200円で取引が可能です。
つまり自分では「少額取引だから損失も大したことはない」と思っていても、実際には13万円を取引した時と同じだけの損が出るのです。
そこで、ここからはFXのレバレッジで大きな損失を出さないポイントについて解説していきます。
- 損切りする
- レバレッジは低めに設定する
- 証拠金維持率に余裕を持たせる
FXで損切りする
損切りとは損失を確定することです。
いつか上がる(下がる)かもしれないとポジションを保有しておきたくなるかもしれませんが、プロのトレーダーでも勝率100%はあり得ません。
1回の取引で〇%の損失が出たら損切りするなど、一定のルールを決めましょう。逆指値(ストップ注文)をしておくのもおすすめです。
損切りのタイミングは人によって違いますが、1円ごとのキリの良い数字にしたり、レジスタンスライン・サポートライン(抵抗線)付近に設定する方が多いです。
レバレッジを低めに設定する
レバレッジ倍率を選べるFX会社を利用するなら、レバレッジは低めに設定して取引しましょう。
本記事で紹介した楽天FXや、松井証券FXなら取引ごとに選択したレバレッジ倍率でトレードできます。
証拠金維持率に余裕を持たせる
レバレッジを選べないFX会社で取引する場合も、証拠金維持率に余裕を持たせれば比較的安全です。相場の急変時にも耐えられるでしょう。
実効レバレッジを低く保つためには、口座入金額を多くすること、注文数を抑えることなどが有効です。
証拠金維持率が300%程度あれば、比較的安全だと言われています。
初心者がレバレッジ運用する際の注意点
少額からFXを始めたい初心者の方にとって、レバレッジ運用はメリットがたくさんあります。
ただし、上記で解説したように注意点もあることは覚えておいてください。
- はじめは海外ではなく国内のFX業者を選ぶ
- 証拠金に余裕を持ってレバレッジを低く保つ
- 海外FX会社を使うときはレバレッジをかけすぎない
- 損切りラインをあらかじめ決めておく
- 相場急変時のロスカットに気を付ける
FXのレバレッジでよくある質問
最後に、FXのレバレッジ取引でよくある質問をまとめました。
レバレッジをきちんと理解してFX取引をしたい方は、ぜひ参考にしてください。
リスクを抑えた安全なレバレッジ倍率は?
レバレッジ25倍だと損失も25倍になる?
レバレッジの追証とは何ですか?
FXレバレッジのメリットを活かして投資を楽しもう
今回は、FXレバレッジの計算方法やメリット・デメリット、レバレッジ取引でおすすめのFX会社について詳しく解説しました。
FXのレバレッジの特徴をまとめると、下記のようなメリットがあることが分かりましたね。
- 用意できる資金以上の金額でFXができる
- 少額取引でも利益を出しやすい
- レバレッジ倍率を抑えればリスクは少ない
手持ちの資金を増額してFXが始められるレバレッジ取引は、「FXをしてみたいけど、運用するための資金がなかなか貯まらない」という方にも適している仕組みです。
レバレッジ倍率を10倍までに抑えればロスカットの心配がほとんどなく、効率よく資金を運用できるのが魅力です。
初期費用を抑えながらFX/為替取引を始めてみたい方は、レバレッジのメリットを上手に活かしたFX取引を検討してみてはいかがでしょうか。