2022.11.01 更新
結婚して5年が経つのですが、そろそろ子どもが欲しいなと思っていて。不妊治療を受けることも検討しているんですが、ネットで調べていると高額な実費の治療もあって、正直自分たちの今の貯蓄から捻出するのは厳しいんです。ただ、ニュースで、不妊治療が保険治療の対象になるという報道もみたり、不妊治療の現状がよく分からなくって…。
不妊治療と保険の関係は、いままさにホットな話題ですよね。子どもを持ちたい方々の気持ちに寄り添って金銭面や精神面のサポートができるよう、現在進行形で、国がさまざまな支援策を展開しています。令和4年から保険適用となりましたし、助成金制度のサポート範囲も広がっているんです!
そうなんですか!今現在どれぐらい助成金がもらえるのかと、保険適用について詳しく知りたいです!
お任せください!不妊治療の保険適用や助成金、医療保険の保障範囲に不妊治療が含まれているのかなど、詳しく解説いたします。
■ 目次
・1.不妊治療の現状について
・2.不妊治療の内容とそれぞれの治療にかかる費用
・3.令和3年から助成金額と受給範囲が拡大した
・4.不妊治療は「医療保険」の支払い対象になる
・5.医療保険に加入する際に注意すべきポイント
・6.不妊治療の保障を目的とした医療保険の加入がおすすめな人
・7.まとめ
1.不妊治療の現状について
近年、晩婚化の傾向が強くなっていることに比例して、自然妊娠しにくいご夫婦が増えています。
一般的には「妊娠を希望して避妊をしないで性行為を行い、1年間子どもができない場合」を不妊症であると定義付けられています。
何らかの理由で自然妊娠が難しい場合、妊娠の可能性を高めるために行うさまざまな予防、診断、治療の総称のことを「不妊治療」といいます。
◆年間どれぐらいの夫婦が治療を受けているの?
現在、年間で約45万件(2017年)の不妊治療が実施され、その件数は年々右肩上がりの状況です。
厚生労働省の報告によると、実際に不妊治療を受けている夫婦は約5.5組に1組の割合とされています。
また、治療にはいたっていないものの、不妊に関する不安を抱いている夫婦は35%いることも分かっており、非常に関心の高いテーマです。
日本では、治療件数の増加に伴い、2018年には不妊治療の「体外受精」という方法によって、全国で約5万7,000人の赤ちゃんが誕生しています。
日本全体の年間出生児数である約94万人と比較すると全体の約6%にあたり、17人に1人は体外受精によって誕生した子どもということになります。
参考:『不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック』厚生労働省
◆不妊治療は女性だけのものではない
不妊治療と聞くと、女性が受ける治療というイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、原因は女性に起因するものだけではないことをご存知でしょうか。
世界保健機構(WHO)によると、不妊の原因は、①女性側にのみ原因があるもの…41%、②男性側にのみ原因があるもの…24%、③男女ともに原因があるもの…24%、④原因不明…11%とされています。
つまり、②男性側にのみ原因がある(24%)と③男女ともに原因がある(24%)を合わせると48%となり、不妊の約半分は男性側にも起因する、ということが分かります。
◆不妊治療が増えている背景
近年、女性の社会進出やライフスタイルが多様化するにあたり、晩婚化の傾向にあります。初婚年齢が上昇するにつれ、初産の年齢も上昇しています。
平成12年から平成23年の約10年間の、赤ちゃんを出産した時の平均年齢を見てみると、母親の年齢が35歳以上の出産の割合が倍増しているというデータもあります。
2.不妊治療の治療内容とそれぞれの治療にかかる費用
不妊治療と聞くと「実際の治療方法は詳しく知らない」「治療費用が高い」というイメージをお持ちの方が多いかと思います。
実は、不妊治療には治療の種類によって、公的な社会保険が適用されるものと、全額自己負担になるもの、国や地域などから助成金をもらえるものなどさまざまな種類があります。
実際にどのような治療法があり、どれぐらい費用がかかるのかを見ていきましょう。
◆不妊治療の種類は大きく分けて2パターンある
① 一般不妊治療(基本的に保険適用となる)
●タイミング法
医師が超音波検査で排卵日を予測し、最も妊娠の確立が高いタイミングを指導する治療法。
●排卵誘発法(薬物療法)
「排卵誘発剤」という薬(内服薬や注射)を用いて、卵子を発育させ排卵を促す治療法。
② 特定不妊治療(基本的に保険適用外となる)
●人工授精
あらかじめ採取・調整した精子を子宮内に注入する治療法。タイミング療法では妊娠が難しいと判断された場合に、実施されることが多い。
●体外受精
女性の卵子を体外に一度取り出し受精させ、受精卵を再び子宮に戻して着床を促す治療法。精子自身の力で卵子に入り込み受精するため、卵子が壊れる可能性がない。タイミング療法や人工受精での妊娠が難しいと判断された場合に、実施されるケースが多い。
●顕微授精
細い針を用いて人工的に卵子に精子を注入する治療法。体外受精よりも受精率は高くなるが、卵子に針を刺すためごく稀に膜が壊れてしまうケースがある。精子自身の力で受精できない(=体外受精が不可能)と判断された場合に実施されることが多い。
このように、不妊治療は「一般不妊治療」と「特定不妊治療」に分かれ、「一般不妊治療」は保険適用、「特定不妊治療」は保険適用外となります。
◆不妊治療にかかる費用はどれぐらい?
不妊治療にはさまざまな種類があることが分かりました。
それぞれの治療にはどれぐらいの費用がかかるのでしょうか。
治療例を参考に見てみましょう。
保険適用となる一般不妊治療にかかる費用は数千円と、それほど自己負担額は大きくありません。
ただし、保険適用内での治療で妊娠が望めず、次のステップである特定不妊治療に移った場合は全額自己負担となり、人工授精では約3万円、体外受精では約60万円、顕微授精では約70万円かかる可能性があるなど、高額な治療費が必要になることが分かります。
また、直接治療にかかる費用以外にも、不妊治療ではさまざまな医療費が発生することがあります。
次に、直接的な治療費以外にどのような関節費用が発生するのか、一例をご紹介します。
●漢方薬
不妊治療ではより妊娠の可能性が高くなる体質作りのため、漢方薬を服薬するケースもあります。
保険が適用される場合は数千円ですみますが、もし漢方をその人の体調や体質に合わせて調合するなど、保険適用外となる場合は費用が2~4万円になることもあります。
●サプリメント
漢方薬と同じく妊娠しやすい体づくりを目的に、亜鉛や葉酸などの栄養素を、サプリメントを通じて摂取するケースが考えられます。
種類や摂取量には個人差がありますが、サプリメント代として月に1,000~10,000円ほどかかることが想定されます。
このように、不妊治療には直接的な治療費以外にも、間接的にお金がかかることもあります。
他にも病院までの交通費や、冷え性を改善するための鍼灸治療を受けるといったケースも考えられますよね。
不妊治療は身体や心への負担だけでなく、このような金銭的な負担も大きいものとなり、現在、国では不妊治療を受けている人、今後受けたいと検討している人にむけた支援策の拡充を掲げています。
3.不妊治療の「助成金」とは?令和3年からもらえる額と人が増えた!
令和3年1月から、不妊治療に関する助成金の金額ともらえる人の対象が増えたことをご存知でしょうか。
実は、令和4年からの不妊治療保険適用への移行を見据え、もともとあった助成金制度のサポート範囲が広がっているのです。
助成金の金額が、以前は初回30万円、2回目以降の治療については半額となる15万円だったのに対し、現在は2回目以降も30万円と大幅にアップ、助成の回数も今までは生涯で6回までだったのに対し、子ども一人あたり最大6回とより手厚い支援策に見直されています。
さらに対象となる夫婦についても、法律婚・事実婚を区別せず、カップルであっても助成金が支給されるようになりました。
これらの拡充策を踏まえて、ついに令和4年(2022年)から不妊治療保険適用が開始されました。
4.不妊治療は民間生命保険会社の「医療保険」の支払い対象になる
国や自治体が、より多くの人が治療費用の心配をせずに不妊治療を受けることができるよう、支援策の拡充を講じている一方で、助成金だけではまだまだ自己負担額が大きくなってしまうケースもあります。
そんな時に助成金と合わせて活用していただきたいのが、民間の生命保険会社の「医療保険」です。
◆不妊治療に活用できる「医療保険」って?
現在、医療保険に不妊治療も保障の対象とする特約がついている場合があります。
例えばA生命保険の医療保険では、所定の特定不妊治療を受けた際に「特定不妊治療給付金」という給付金が支払われます。
給付金額は、最大12回受け取ることができ、1回の治療につき5万円(1回目~6回目)、10万円(7回目~12回目)と、治療の回数によって変わります。
対象となる治療方法は、特定不妊治療(基本的に保険適用外)のうち、体外受精と顕微授精を実施した場合です。
体外受精や顕微授精は、治療費用が60~70万円と高額になるケースもあります。助成金と合わせて医療保険の給付金を活用すると、合算で約35~40万円の自己負担額軽減を図ることが可能となります。
◆男性の不妊治療の医療保険の保障対象になるの?
記事の冒頭でもお伝えした通り、不妊の原因は女性側だけに起因するものではなく、約半分が男性側に起因するものというデータがあります。
民間の生命保険会社が販売している医療保険の中には、男性が不妊治療を受けた場合も給付金の支払い対象となる商品があります。
例えば、B社で発売している医療保険では、女性も男性も下記の条件を満たす特定不妊治療を受けた場合、給付金を受け取ることができます。
●体外受精または顕微授精の治療過程で受けたいずれかの施術
・採卵 ・胚移植 ・精巣または精巣上体からの採精
●保障の開始日から2年を経過した後に施術を受けた場合
■受け取れる給付金額の一例
給付金は医療保険の「手術給付金」という名目で受け取ることができます。実際に受けた治療の種類に応じて、加入時に設定した基本給付額の5倍を受け取ることが可能です。
例)基本給付金額を10,000円に設定し、指定の特定不妊治療を受けた場合
10,000円(基本給付金額)×5=50,000円
つまり、基本給付金額を10,000円に設定していた場合は、50,000円の手術給付金を受け取れることになります。
5.医療保険に加入する際に注意すべきポイントは?
不妊治療に臨む際、費用面の負担を軽減するために、医療保険を活用する方法をお伝えしました。
医療保険に加入し、正しく給付金を受給するためには、下記のポイントに当てはまらないよう、注意が必要です。
①保険の保障開始日から2年を経過する前に治療を受けた場合
②被保険者の戸籍上の配偶者の妊娠を目的としない場合
③第三者への提供を目的とした採卵・採精
④第三者から精子・卵子・胚の提供を受ける場合
⑤体外受精または顕微授精の予定がなく、凍結保存することのみを目的とした採卵・採精
例えばA保険会社の医療保険の場合、上記のいずれかの項目に当てはまっていると、給付金の給付対象外となってしまいます。
特に、「①保険の保障開始日から2年を経過する前に治療を受けた場合」については、保障開始日から2年を経過後に受けた不妊治療が保障対象になるということです。
保険加入後、すぐに不妊治療を始めても2年間は給付金を受け取ることができないため、計画的な保険加入の検討が大切です。
不妊治療が保障の対象となるか、またどのような条件で給付金が受け取れるのかについては、各保険会社によって異なりますので、詳細については各社への確認が必要です。
6.不妊治療の保障を目的とした医療保険の加入がおすすめなのはこんな人!
公的な助成金を受けることを前提に、さらに手厚い保障や給付金が必要な方におすすめです。
例えば、保険適用外の治療となる体外受精や顕微授精など、高額な特定不妊治療を受ける可能性があるご夫婦の方は、公的な助成金の支援だけでなく、医療保険の活用を検討してみてもいいでしょう。
7.まとめ
いかがでしたでしょうか。
不妊治療は一度きりの治療で妊娠にいたるケースは少なく、基本的に長い年月がかかり治療回数も多くなるケースがほとんどです。
ご夫婦の貯金額から治療費を捻出する場合、経済的な負担は大きなものとなります。
夫婦で前向きに不妊治療に臨むためにも、公的制度や医療保険の活用方法について、早めに準備しておくことで、お金に関する不安を少しでも取り除くことができるのではないでしょうか。
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保険やお金について少しでも不安がある方、聞きたいことがある方は、ご質問だけでもかまいませんのでお気軽にお立ち寄り下さい。
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