2019.12.07 更新
*この記事のポイント*
●年齢とともに病気やケガなどで、入院や通院をする確率が高まります。
●70歳以上になると、健康保険や高額療養費制度での自己負担額が変わります。
●75歳以上になると、後期高齢者医療制度の対象となります。
厚生労働省の「2015年版簡易生命表」によると、日本の平均寿命は男性は80.79歳、女性は87.05歳と年々伸びています。
年齢を重ねていくごとに心配になってくるのが、大きな病気やケガでの入院や治療についてです。
そこで今回は病気・ケガでの入院リスクと、70歳以降の医療制度についてご紹介します。
1.年齢と共に病気になる確率が高くなる
厚生労働省の「患者調査の概要(平成26年度)」によると、70歳以上になると入院・外来ともに受診率が高くなっていきます。
また、高齢になっていくほど入院する確率が高くなる傾向があります。
<①年齢別入院・外来受診率>
出典:厚生労働省「平成26年 患者調査の概況」
また、60~64歳になると、がんなどの大きな病気にかかる確率が一気に高まります。
<②年齢別がんの罹患率>
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
がんなどの重い病気になってしまった場合、治療が長期化しやすく、予想以上に大きな出費となってしまうことも少なくありません。いざという時のために早めに備えておくことが大切です。
2.健康保険の自己負担額が70歳から変わる
75歳からは後期高齢者医療制度の対象となりますが、まだ後期高齢者医療制度に加入していない70歳以上の方で、サラリーマンをされていた方には「健康保険高齢受給者証」、国民健康保険に加入されていた方には「国民健康保険高齢受給者証」が交付されます。
医療機関などを受診するときに、健康保険証とあわせて高齢受給者証を提示することで、医療機関の窓口で支払う自己負担割合が下記のとおりになります。
≪被用者保険に加入されていた方(会社員・公務員など)≫
①該当者が70歳以上の被保険者
出典:全国健康保険協会「高齢受給者証について」
②該当者が70歳以上の被扶養者
出典:全国健康保険協会「高齢受給者証について」
※1 …誕生日が昭和19年4月1日生まれ以前の方は、一部負担金などの軽減特例措置により1割(ただし、75歳以上の被保険者及び被扶養者の一部負担金の割合は、2割)。誕生日が昭和19年4月2日生まれ以降の方は、2割の自己負担となります。
≪国民健康保険に加入されていた方(自営業など)≫
出典:厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」
3.高額療養費制度の自己負担上限額も70歳から変わる
70歳以上になると、高額療養費制度の自己負担上限額も変わります。
<70歳以上の方の自己負担額>
最終的に支払う自己負担額は、健康保険加入者の所得水準によって異なりますが、70歳以上になると負担額がさらに軽減されることに加えて、外来のみの上限額も設定されています。
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成29年7月診療分まで) 」
また、高額療養費制度には「多回数該当」といって、直近の1年間に3回以上高額療養費の支給を受けている場合、4回目からその月の負担額が更に引き下げになる制度があります。
70歳以上の場合は、この制度における負担額も変わります。
「一般」や「低所得者」の区分の方については、多数回該当の適用はありません。
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成29年7月診療分まで)」
4.そして75歳からは後期高齢者医療制度へ
75歳(寝たきりなどの場合は65歳)以上の方が加入する、独立した医療制度のことを「後期高齢者医療制度」といいます。
対象となる高齢者の方は、今まで加入していた国民健康保険や被用者保険を脱退し、新たに後期高齢者医療制度に加入することになります。
後期高齢者医療制度に加入されている方は、医療機関の支払い窓口で「後期高齢者医療被保険者証」を提示することで、負担割合が原則1割になります。(現役並みの所得の方※2は3割.。)
※2 年収額が、基準額(383万円…単身世帯・520万円…夫婦2人世帯)を超える方のこと。被保険者本人と70歳以上の家族(65歳以上で寝たきりなどの方も含む)の方の収入合計額が基準額に満たない場合には、申請すると2割の負担になります。(誕生日が昭和19年4月1日以前の方は1割)
保険料は、後期高齢者医療制度の加入者一人ひとりが納めます。
所得に応じて負担する「所得割(応能分)」と被保険者が均等に負担する 「被保険者均等割(応益分)」の合計が保険料になります。
※被用者保険の被扶養者だった方は、後期高齢者医療制度の被保険者となった日の属する月から2年間保険料の所得割の負担はなく、均等割は5割軽減されます。
5.まとめ
高齢になると、入院や通院のリスクが高まります。
今加入している公的医療保険の仕組みを理解した上で、不足分については貯蓄や保険などで備えておきましょう。
また、ほとんどの方が老後を迎える時代となった今、医療保障制度以外にも、年金制度や、公的介護保険や1ヶ月の自己負担額が軽減される高額介護サービス費など、さまざまなリスクに対しての社会保障が存在します。
いざという時のためにきちんと制度を利用できるように、今のうちから理解を深めておくことが大切です。
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