2019.12.09 更新
*この記事のポイント*
●【契約者】【被保険者】【受取人】の関係で、税金の種類が異なります。
●死亡保険金は、相続税として受け取る方が、課税金額が少なくなります。
●生命保険に加入される際には、保険金が何税になるのか確認して契約しましょう。
生命保険は、遺された家族の生活費や、入院した際の治療費など、万が一のことがあった場合に生活を守ってくれる大切なもの。
また、中には「健康祝い金」など、健康だったときに受け取れる給付金もあります。
その保険金・給付金を受け取る際に、どれくらいの税金がかかるのかご存知ですか?
今回は、生命保険と税金の関係」についてお話します。
1.生命保険の基本をおさらいしよう
生命保険金と税金のお話に入る前に、まずは生命保険の基本をおさらいしましょう。
生命保険を契約するときには、「契約者」「被保険者」「受取人」をそれぞれ誰にするかを決める必要があります。
■契約者
保険会社と契約を結び、生命保険の保険料を払う人のこと。
■被保険者
加入する保険の対象となる人のこと。その人が入院や死亡した際に保険金や給付金が支給されます。
■受取人
保険金や給付金を受け取る人のこと。
生命保険金を受け取る際の税金は、この「受取人」が誰かで、かかる税金が異なってきます。
税率により引かれる税金が大きく異なってくるので、生命保険に加入する際には、誰を受取人にするのかしっかり考えて加入するようにしましょう。
2.契約者と受取人が同一の場合は何税?
契約者と受取人が同一の場合には、基本的に「所得税」の扱いになります。
例えば、以下の保険金を受け取る場合が該当します。
≪満期保険金≫
養老保険や学資保険で受け取る満期保険金は、一時所得の扱いになります。
ただし、一時所得の課税対象となる金額は【増えた金額-特別控除額50万円×1/2】になりますので、保険に加入したことで増えたお金が50万円以下だった場合には、課税されません。
≪解約返戻金≫
保険を解約して受け取るお金のこと。解約返戻金も満期保険金と同様に一時所得になります。
≪祝金、生存給付金≫
祝い金や生存給付金も、一時所得です。ただし、受け取るお金の総額が支払ったお金より少ない場合は課税されません。
≪個人年金保険の年金≫
個人年金保険の年金は、雑所得扱いになります。
≪死亡保険金≫
死亡保険の場合でも、契約者が夫・被保険者が妻・受取人が夫といった場合には、一時所得になります。
3.契約者と受取人が異なる場合は何税?
契約者と受取人が異なるケースは、主に死亡保険の場合に多いでしょう。
死亡保険金は、契約者・被保険者・受取人がそれぞれ誰かによって、どの種類の税金に該当するかが異なってきます。
ケース①の場合
上記で説明したように「一時所得」になります。
ケース②の場合
契約者と受取人が異なる場合、「相続税」の扱いになります。
ただし、生命保険金は「遺された家族の生活を守る」という大切な目的があるため、一定の生命保険金が非課税対象となります。
法定相続人とは、民法で定められた、“相続人になれる人”のこと。
相続税の扱いになれば、この法定相続人の人数×500万円分が非課税になるため、相続税として死亡保険金を受け取る方が、課税金額が少なくなるのです。
※注 ただし、非課税対象にならないケースも。
非課税対象として認められるのは、受取人が「法定相続人」である場合に限ります。
例えば、内縁の妻が死亡保険金を受け取った場合、相続税の扱いになりますが、「法定相続人」ではありませんので、非課税対象にはなりません。そのため、受け取った保険金全額を相続税の計算に含めなければなりません。
ケース③の場合
契約者と被保険者が異なる場合、「贈与税」の扱いになります。
贈与税の扱いになった場合に、受け取る死亡保険金から基礎控除額110万円を差し引いた金額が、課税対象となります。
また、死亡保険以外にも、満期保険金、個人年金保険の年金も、受取人が契約者と異なる場合には贈与税になります。(個人年金は、初年度のみ贈与税、2年目以降は雑所得)
※注 贈与税は、所得税や相続税より課税額が大きくなるケースが多いため、通常は保険会社が、贈与税となる受取人の契約を取扱わない場合があります。
※注 受取人になれる人には制限があります
生命保険の受取人として指定できる人には制限があり、配偶者・一親等(親、子)・二親等(祖父母、兄弟、孫)に限られます。
ただし、保険会社によっては、条件によっては内縁の妻や婚約者が受取人になれるケースもあるようです。
3.非課税対象の保険金・給付金も
保険金によっては、非課税のものがあるのはご存じですか?
例えば、病気やケガ、障害、介護に関する保険給付金などは、課税対象になりません。
また、医師から余命6ヵ月の宣告を受けた場合に保険金の一部を生きている間に受け取れる『リビングニーズ特約』で受け取った保険金も、課税対象にはなりません。(ただし、死亡後、未使用分については税金がかかります。)
4.まとめ
生命保険の保険金を受け取る際、保険金は、契約者・被保険者・受取人の関係で税金の種類が異なります。
それにより、手元に残るお金が、時には何百万の単位で異なる場合もありますので、生命保険に加入する際には、ぜひ保険金・給付金を受け取った後の税金のことも考慮して加入するようにしましょう。
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