2019.12.06 更新
*この記事のポイント*
●出産にかかるトータル費用は高額です。もらえるものは漏れなくもらいましょう!
●出産一時金を受け取る方法は3つ!それぞれのメリット・デメリットとは?
●要チェック!損をしないための2つのポイントとは?
通常、出産には健康保険がきかないため、検査費、入院費などあわせると、出費は高額になります。(詳しくは、リンク先:「出産費用はいくら?平均額や費用の地域差ってあるの?出産にかかるお金の話」をご覧ください。)
そのうえ、産前産後はどうしてもママが働けなくなるため、共働きのご家庭はより負担も大きくなります。そんな出産に際する経済的な負担をサポートするために、国や自治体、社会保険制度では様々な給付金が支給されています。
ただし、これらのお金は自分で申請をあげるものばかり。損なく漏れなく受け取るために、「自分だったら何がもらえるか」をしっかりチェックしておきましょう!
1.「出産に際してもらえるお金」って?
まずは、出産に際して「どんな」制度があり、「誰が(対象者)」「どれくらい」「どのタイミング」で受け取れるのかをチェックしてみましょう。
① 出産一時金
「出産一時金」は、1人の出産につき一時金が行政から支給されるものです。
■誰が対象になる?
・国民健康保険、健康保険に加入しているママ、またはその被扶養者
・妊娠85日以上(妊娠4ヶ月以上)で出産している方
■どれくらいもらえるの?
出産一時金は、一律42万円
※産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.4万円
■どのタイミングでもらえるの?
どの支払制度を利用するかによって異なります。
② 児童手当金
■どんな制度?
児童手当金とは、児童手当法に基づき、児童を養育している方に支給される手当のことです。
■誰が対象になる?
・0歳から中学校卒業までの児童を養育しているパパ、ママなど
※児童が施設に入所している場合は施設の設置者など
■どれくらいもらえる?
・0歳~3歳未満…15,000円
・3歳~小学校修了前…(第1子・第2子)10,000円、(第3子以降)15,000円
・中学生…10,000円
※所得制限世帯(約960万円以上)は、子ども1人につき5000円
■どのタイミングで?
毎年2月・6月・10月に支給されます。
※申請した翌月分からが支給の対象
③ 乳幼児医療費助成
■どんな制度?
乳幼児医療費助成とは、乳幼児が医療機関で診察や治療を受けた際に、その費用の一部または全額を自治体が助成してくれる制度です。
■誰が対象になる?
・国民健康保険や健康保険など、各種医療保険に加入している乳幼児
※生活保護を受けている、または施設などに入所している乳幼児は対象外となります。
■どれくらいもらえる?
自治体によって異なります。詳しくは各自治体の窓口に問合せするか、ホームページをチェックしてみましょう。
④ 出産手当
■どんな制度?
産休期間中の生活を支える目的で、会社で加入している健康保険から支給される手当です。
■誰が対象になる?
・健康保険に加入しているママ
《支給される条件》
①妊娠4か月(85日)以上の出産であること
②出産のため仕事を休み、給与(報酬)の支払いがない、またはその支給額が出産手当金より少ないこと
■どれくらいもらえる?
1日あたりの支給額は、【支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)で求められます。
・産前休業…出産予定日を含む産前42日(6週間)、多胎は98日(14週間)
・産後休業…出産翌日からの産後56日(8週間)
■どのタイミングで?
産後56日後、書類提出してから振り込まれるため、産後2ヵ月~4ヵ月ほどで振り込まれるのが一般的です。
⑤ 育児休業給付金
■どんな制度?
育休中の給与の支払いがなかった期間について、一定の給付金額を受け取れる制度です。
■誰が対象になる?
・雇用保険に加入しているママ
《支給される条件》
①育児休業前の2年間のうち、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上あること
②育児休業中に、勤務先から1ヵ月に月給の8割以上のお金を貰っていないこと
③就業日数が対象期間中に毎月10日以下であること
■どれくらいもらえる?
・育児休暇開始~180日目:月給の67%
・育児休業開始から181日目以降:月給の50%
■どのタイミングで?
書類の提出から2~5ヶ月で支給されます。
※その後、2ヵ月ごとに給付金が振り込まれる。
⑥ 傷病手当
■どんな制度?
業務外の病気やケガで仕事を長期的に休むことになったときに支給される手当です。
※妊娠悪阻で自宅療養となった場合なども支給されます。
■誰が対象になる?
・健康保険に加入しているママ
《支給される条件》
①病気やけがの療養のため、働くことができない
(※労務不能の判断は「医師・歯科医師の証明が必要)
②連続した3日(待機期間)、4日目以上仕事を休んでいる
③給与(報酬)の支払いがない、またはその支給額が傷病手当金より少ない
■どれくらいもらえる?
1日当たりの金額は、【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)で求められます。
※支給される期間は最長1年半
※ただし、出産手当金が支給されている期間は、傷病手当金が出産手当金を上回った場合の差額分のみ支給されます。
■どのタイミングで?
申請書類提出後、10日~1ヵ月程度で支給されます。
[参考]全国健康保険協会ホームページ、内閣府ホームページ、厚生労働省ホームページ
2.出産一時金、3つの受け取り方法とメリット・デメリット
もらえるお金の中でも、もっとも経済的な支えになるのが「出産一時金」。健康保険に加入している方(あるいは被扶養者)であれば、どなたでも受け取ることができるお金です。
出産一時金の受け取り方法は、全部で3つあります。それぞれの特徴、申請方法などを知り、ご自身にあった方法で受け取りましょう。
① 直接支払制度
ママ(健康保険の被保険者、または被扶養者)が出産をする医療機関が、被保険者に代わって健康保険に一時金の支給申請を行い、健康保険から医療機関へ、直接一時金の支給を支払う制度です。
[ メリット ]
・退院時に多額の分娩費・入院費を払う必要が無く、負担が軽減される
・基本的には病院からもらう書類にサインするのみで、手間がかからない
[ デメリット ]
・医療機関によっては制度を導入していないところもある
・医療機関側の事務負担がかかるため、中には数万円の手数料を請求される場合もある
② 受取代理制度
受取代理制度は、医療機関がママ(健康保険の被保険者、または被扶養者)に代わり、健康保険から出産一時金を受け取る制度です。直接支払制度が導入されていない、認可された医療機関でのみ利用できる制度です。
[ メリット ]
・退院時に多額の分娩費・入院費を払う必要が無く、負担が軽減される
[ デメリット ]
・出産予定日の前(およそ1~2ヶ月前)に健康保険などに事前申請を行う必要があり手間がかかる
③ 産後申請制度
退院時には全額自己負担で分娩費・入院費を払い、退院後に申請を行うことで、指定の口座に健康保険などから一時金が振り込まれるという制度です。
[ メリット ]
・カード払いOKな医療機関の場合、分娩費・入院費をカード払いで支払い、ポイントを貯めるという節約技が使える
[ デメリット ]
・多額の分娩費・入院費をあらかじめ全額自己負担しなくてはならないため経済的な負担が大きい
[参考]厚生労働省サイト、全国健康保険協会サイト
3.知らなきゃ損!もらえるお金をムダなく受け取る2つのポイント
(その1)使わなかった助成券は現金化
安心・安全な出産のために必要とされる「妊婦健診」の受診回数は14回程度とされており、1回につき5,000円~1万5,000円の費用がかかります。
ただ、現在では全市区町村で14回以上助成されており、中には無制限に負担してくれる自治体も。母子手帳を受け取るタイミングで、受診券、補助券などの助成券がママに配布されます。
しかし、交付された助成券は「里帰り出産」など、他の地域では使用できないというケースも少なくありません。
でも、安心してください。申請をすることで、請求する市の助成範囲内の金額は戻ってきます。ですので、間違っても「使わなかったから要らない」といって捨ててしまわないように注意しましょう。
ただ、市によって請求できる期限が異なります。「のんびりしている間に申請期間が過ぎてしまった!」ということにならないよう、長期間里帰りする場合は、あらかじめ期間を確認しておきましょう。
[参考]厚生労働省・妊婦健康診査の公費負担の状況にかかる調査結果について
(その2)加入している健康保険をチェック!付加給付で+αをもらおう
加入している健康保険の種類によっては、出産一時金以外に「付加給付」といったお金がもらえることも。
「付加給付」制度の対象は、「健康保険組合」という、会社や業界団体が従業員のために独自で運営する健康保険制度に加入している方、あるいは被扶養者です。もらえる額も加入する組合によって異なります。中には10万円を超える額を受け取れることもありますので、ぜひ確認してみてください。
4.まとめ
出産に際して、出ていくお金は少なくありません。しかし、国や自治体からのサポートをフルに活用することで、経済的負担を少しでも軽減し、家族が増えた新しい生活を楽しく前向きに過ごせると良いですね。
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