2022.03.24 更新
家族ががんで闘病中なのですが、少しでも完治の可能性を探りたくて、いろいろな治療法を検索しています。その中で、海外で実施されている治療法をぜひ受けてみたいと思っているのですが、どうやら日本では未承認の治療方法らしく…。諦めるしかないのでしょうか?
なるほど。もしかしたら「患者申出療養制度」という制度で、治療の実施が可能になるかもしれません。
「患者申出療養制度」…。初めて聞きました!もし治療方法の可能性を探れるなら、ぜひ活用したいです。
この制度では、患者さんからの申し出を受けた病院が、国内で未承認の治療法を行うことができるか検討し国に相談してくれる、治療方法を広げるチャンスとなる制度なんです。「患者申出療養制度」について、詳しくご紹介しますね!
「患者申出療養」という健康保険適用外の治療に関する新しい制度は、2016年4月からスタートしました。
その年の10月には初の適用例が認められ、ニュースにもなっています。
一体どのような制度で、どのような場合に適用ができる制度なのでしょうか。
この記事では、「患者申出療養制度」の概要について詳しくお伝えします。
■ 目次
・1.患者申出療養ってどんな制度?
・2.どんなケースが患者申出療養の対象になるの?
・3.先進医療と患者申出療養の違いとは?
・4.まとめ
1.患者申出療養ってどんな制度?
■患者申出療養とは
「患者申出療養」とは、未承認薬などの先進的な医療を「保険外併用療養」として使用したいという患者さんからの申出を受けて、安全性・有効性などを確認したうえで、できる限り身近な医療機関で受けられるようにするための制度です。
厚生労働省の発表によると、平成30年2月末時点までに計91件の申出があり、そのうち承認され治療が実施された「患者申出療養」は4件とされています。
参考:厚生労働省「患者申出療養制度の現状について」 平成30年4月3日
◆患者申出療養制度の流れとは?
患者申出療養制度は、下記のような流れで「申出・計画・治療の実施」という風に進みます。
具体的には、患者さんから申し出を受けた病院側では、下記の4つのステップで治療の可能性を探ります。
《STEP1》希望する治療方法に該当する「治験」があるかどうか?
→治験がある場合…実施している企業に相談し、患者さんに参加を勧める。
→治験がない場合…《STEP2》へ
《STEP2》希望する治療方法に該当する「先進医療」があるかどうか?
→先進医療がある場合…実施医療機関に相談し、患者さんが先進医療を受けられるか確認。
→先進医療がない場合…《STEP3》へ
《STEP3》希望する治療方法に該当する「患者申出療養制度」の実施事例があるかどうか?
→事例がある場合…実施医療機関に相談し、患者さんが該当の治療を受けられるか確認。
→事例がない場合…《STEP4》へ
《STEP4》上記以外の臨床研究がないか、可能な範囲で情報収集を行う。
→臨床研究が見つかった場合…該当の研究機関に相談し、患者さんが参加可能かどうか確認。
→臨床研究がない場合…試験実施可能なエビデンス(欧米での承認等)や医薬品を調査。過去に国内での事例がないものの実施が可能な治療が見つかれば、新たな「患者申出療養」として治療を実施。
※難しい場合は、既存の医療技術で対応できないか再検討。
患者さんからの申し出の内容や申出によって治療実施にまで至った医療データは、将来的に保険適用の治療にするためのデータとして活用されたり、医療技術の発展に役立てられます。
参考:厚生労働省『患者申出療養制度』
◆患者申出療養のメリットとは?
例えば、がんの治療などで国内ではまだ承認されていない新薬を使用したいと思った場合、通常はその薬代・治療費が全額自己負担となるだけでなく、入院料や他の技術料などもすべて自己負担となります。
理由は、日本では原則として「健康保険の範囲内の診療」と「健康保険の範囲を超えた診療」が同時に行われた場合、一連の診療の費用が「自由診療」として健康保険適用外となるためです。
例)健康保険適用外の自由診療を受ける場合
しかし、患者申出療養としての承認を受けることができれば、「健康保険の範囲を超えた部分」自体は全額自己負担となりますが、「健康保険の範囲内の診療」については健康保険の適用となり、3割負担で受けることができます。
これを「保険外併用療養」といいます。
「患者申出療養」と認められることによって通常の診療の部分についての自己負担額が軽減されるため、まだ健康保険の適用になっていない新しい薬や治療方法を受けたいという切実な想いを持った患者さんにとって、治療の選択肢が広がることが大きなメリットとして挙げられます。
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2.どんなケースが患者申出療養の対象になるの?
実際には、どのようなケースで患者申出療養を行うのでしょうか。
≪患者申出療養を申出るのはどんなとき?≫
① 治験、先進医療、患者申出療養のいずれも実施していない医療を実施してほしい場合
② 先進医療で実施しているが、実施できる患者の基準に外れてしまった場合
③ 先進医療で実施しているが、自分の身近な保険医療機関で行われていない場合
④ すでに実施されている患者申出療養が自分の身近な保険医療機関で行われていない場合 など
参考:厚生労働省『患者申出療養制度』
例えば2016年の9月21日に、東京大学医学部付属病院で初めて実施が認められた「患者申出療養」は、②の「先進医療で実施しているが、実施できる患者の基準に外れてしまった場合」のケースに当てはまると言われています。
※治療内容は、進行した胃がんへの抗がん剤投与(「パクリタキセル腹腔投与および静脈内投与並びにS-1内服併用療法」)
今後も、このような先進医療で実施できる患者の基準に外れてしまった場合や、がんの未承認薬などの治験・先進医療で実施されていない医療についての申請が増えてくると考えられています。
◆患者申出療養を受けたいと思った場合はどうしたらいいの?
まずは、かかりつけ医など、身近な医療機関にご相談ください。
ご自身の病状に合った治療法について、よく相談していただくことが必要です。
また、「患者申出療養制度」の申出は、基本的に治療を受ける患者さん本人が行うこととされています。
ただし、患者さん本人が未成年者、または成年被後見人である場合、法定代理人の家族の方等が本人に代わって書類の提出等を行うことが可能です。
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3.先進医療と患者申出療養の違いとは?
以前からあった「先進医療」と今回スタートした「患者申出療養」はどちらも、保険外併用療養制度に含まれる制度です。
実際にはどのようなところに違いがあるのでしょうか。
≪先進医療≫
医療機関が主となり、先進的な医療を実施する。
・厚生労働大臣が定めた高度の医療技術を用いた療養(平成28年9月1日現在101種類)
・厚生労働省に承認された医療機関でのみ受けることができる
・対象となる患者の基準が定められている
≪患者申出療養≫
患者の申出によって、未承認薬などの使用について安全性が確認された上で、身近な医療機関において実施する。
・患者がかかりつけ医などに相談した上で、「臨床研究中核病院」を通して申請を行う
(原則として6週間、前例がある医療の場合は2週間で審査が行われる)
・実績があり、リスクが低い治療法については身近な医療機関で受けることができる
・患者から申出のあった医療技術について、その時点の患者の病状に対して有効性・安全性から判断される
先進医療は、国が主となって定めるものであることに対し、患者申出療養は患者がかかりつけ医などのアドバイスにより申出を行うことが最大の違いです。
また、患者申出療養の特長として、審査期間が短いこと、対象者となる患者さんの範囲が広がることも挙げられます。
4.まとめ
患者申出療養がスタートしたことにより、これまでは先進的な医療を受けたいと希望しても受診することができなかった患者さんが、より早期に、身近な医療機関で、希望する保険適用外の治療を受けられる可能性が広がりました。
ただし、患者申出療養が認められても、未承認薬(保険診療の対象外)の金額など、保険適用されていない部分については、自己負担となります。
そのため、新たに患者申出療養に対応する保険も開発されています。
医療制度は時代に合わせて変化していますので、気になる情報はぜひ日々チェックしておきましょう。
保険テラスでは、従業員のマスク着用・接客ブースのアクリルパネルの設置などによる感染防止策を行いながら、お客さまのご相談を承っております。
また、「今は極力外出を控えたい」「子供を連れて店舗に行きにくい」といったお客さまには、オンライン相談サービスも実施しています。
保険やお金について少しでも不安がある方、聞きたいことがある方は、ご質問だけでもかまいませんのでお気軽にお立ち寄り下さい。
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