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保険コラム

先進医療とは? かかる費用や種類、年間実施件数を解説 | 保険テラス
生命保険医療保険公的制度入院(病気・ケガ)

お客様

テレビで先進医療についてのニュースを目にしたのですが、健康保険は適用されるのでしょうか?

スタッフ

先進医療は健康保険の適用対象ではないため、費用はすべて患者さんの自己負担となってしまいます。

お客様

そうなんですね!私はまだ貯金も少ないし、いざ先進医療を使って治療するとなった場合どうなるんでしょう…。

スタッフ

医療保険やがん保険に特約として先進医療の保障をつけることもできますよ。

お客様

そういう備え方があるんですね!先進医療の費用や保険について詳しく教えてください!

*この記事のポイント*
●先進医療を受ける患者数は増加している
●先進医療には、治療方法だけではなく、検査方法や診察方法も存在する
●先進医療にかかる費用は、全て患者の自己負担

よく耳にする先進医療。主にがん治療に用いられているイメージがありますが、実はその他の病気に対しても、さまざまな種類の先進医療が存在し、その費用も医療技術によって異なります。

今回は先進医療の種類と、それにかかる治療費などをご紹介します。

■ 目次
1.先進医療って?
2.先進医療を受けている人はどれくらい?
3.どんな先進医療が受けられているの?
4.先進医療を受けるための費用は?
5.先進医療を受けるときに知っておくべきポイント
6.先進医療に備えた医療保険について
7.まとめ

1.先進医療って?

厚生労働大臣が定めた高度な医療技術を用いた治療で、将来的に健康保険の適用が検討されている医療技術のことです。

医療技術ごとに、厚生労働省が一定の施設基準を設けており、施設基準に該当し、承認された医療機関でのみ受けることができます。

■ 先進医療は82種類もある

2024年5月1日現在、認可を受けている先進医療の数は82種類です。

重粒子線治療や陽子線治療といった粒子線治療や抗がん剤などの薬物療法、免疫療法といった治療方法だけではなく、検査方法や診断方法も、治療方法を判断する評価において、先進医療となっている技術があります。

 

■ 先進医療は公的医療保険の対象に移ることも

先進医療とされている技術の健康保険適用が決まったり、新たな技術が先進医療に認定されたりと、先進医療の種類は日々変動しています。


<過去10年間の先進医療実績>

厚生労働省「令和5年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」「平成30年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」に基づき弊社で作成


このように、日々増減する先進医療の種類ですが、先進医療患者の数は増加傾向にあります。厚生労働省の資料によると令和5年度では10年前の平成26年度と比較すると、全患者数は約6倍にも増加していることが分かります。

 

■ 保険外併用療養費「評価療養」「選定療養」について

先進医療のような健康保険適用外の治療を受けた場合、治療に併用した保険適用できる診療(保険診療)も含めて医療費は全額自己負担となっていました。

しかし、平成18年10月1日より、健康保険法の一部が改正され、健康保険との併用が認められた療養が定められました。
この、健康保険適用可能な治療と不可能な治療の併用によって支払われる給付金のことを「保険外併用療養費」といいます。

この制度では、保険適用外の治療を受ける場合でも、適正な医療の効率的な提供を図る観点から指定の条件を満たした「評価療養」、特別の病室の提供など被保険者の選定に係る「選定療養」に該当すれば、保険適用が可能な基礎的な療養にかかる医療費は健康保険の対象となります。

 

参照:厚生労働省「保険外併用療養費制度について」

●「評価療養」って?
評価療養とは、簡単に言うと保険適用にするかどうか評価の段階にある診療、ということです。
先進医療もこの「評価療養」の一つに当てはまります。
他には、新薬や新しい医療機器などの治験に係る診療や、薬事法で認められたもののまだ保険には収載されていない新薬を用いた診療なども評価療法に当てはまります。
先進医療は、治療における基礎的部分の医療費については健康保険からの給付となります。

●「選定療養」って?
「選定療養」とは、先ほど説明した「評価療養」と異なり、今後も保険適用は考えられていない診療のことをいいます。
例えば、入院時に大部屋ではなく個室を選択した場合の差額ベッド代、時間外に医療機関を受診した場合の時間外診療代などが「選定療養」に当てはまります。
これらは患者個人の意思(選定)により発生する費用のため自己負担となりますが、「保険外併用療養費」の制度が施行されたことで保険適用の治療と組み合わせが可能になり、保険適用部分は健康保険から給付されるようになりました。

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2.先進医療を受けている人はどれくらい?

厚生労働省のデータによると、先進医療を受ける患者数は、平成26年から増加傾向にあることが分かります。令和2、3年度はコロナの影響で先進医療を受ける患者数が急減速しましたが、その後は回復傾向にあります。

また、令和4年4月から先進医療として適用開始となった不妊治療に関する治療の実施件数が劇的に伸びた結果、令和5年度の患者数は144,282人と大幅に増加しています。



<先進医療を受ける患者数の推移>

厚生労働省「令和5年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」「平成30年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」に基づき弊社で作成

3.どんな先進医療が受けられているの?

先進医療で最もよく耳にするのは、がん治療で用いられる「重粒子線治療」や「陽子線治療」ではないでしょうか。

「重粒子線治療」や「陽子線治療」は、一般の放射線治療と比較し、正常な細胞への影響を最小限に抑え、がん細胞のみを破壊することができる治療法です。

なお、令和5年度(令和4年7月1日~令和5年6月30日)で最も実施件数が多かった先進医療は、不妊治療で用いられる「タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養」で、年間79,700件実施されました。

この治療は、卵管性不妊や男性不妊などの不妊症で通常の不妊治療では効果がない場合に用いられます。正常に発育した着床可能な胚(受精卵)を選別した上で胚移植を行うことができるので、培養成績、着床率、そして妊娠率の向上が期待されます。

2番目に多い「子宮内膜刺激術」は胚(受精卵)の培養液を用いて子宮内膜を刺激し胚受容能力を促す技術です。本来は廃棄する培養液を用い、副作用も少ない方法です。従来の胚盤胞移植に加えて行うことで妊娠率が高まることが期待されます。

厚生労働省「令和5年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」に基づき弊社で作成

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4.先進医療を受けるための費用は?

先進医療と聞くと、高額なイメージがありますが、上記の表を見てわかるように、全ての先進医療が高額というわけではありません。「強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術」は平均で約2万円となっており、比較的低い金額の治療法もあることが分かります。

ただし、先進医療は健康保険の適用対象ではないため、費用はすべて自己負担となります。

例えば、医療費3割負担の人が治療を受けて、総医療費が100万円、うち先進医療にかかる費用が20万円の場合、自己負担額は下図のようになります。

先進医療費20万円は、すべて自己負担となり、診療・検査・投薬・注射・入院料等、通常の治療と共通する部分は健康保険が適用されるため、残り80万円の3割負担で24万を一部負担することになり、計44万円を窓口で支払うことになります。
(※一部負担については高額療養費制度が適用されます)

5.先進医療を受けるときに知っておくべきポイント

先進医療を受ける際、どのようなことを知っておくべきなのでしょうか。
ここでは、3つのポイントをお伝えいたします。

① 先進医療を受けられる医療機関は決まっている

初めにお伝えした通り、先進医療は医療技術ごとに厚生労働省が一定の施設基準を設けており、施設基準に該当し、承認された医療機関でのみ受けることができます。
先進医療を実施している医療機関は、先進医療技術名ごとに厚生労働省のホームページにて掲載されています。
自身の受けたい先進医療が決まったら、まずは近くに対象医療機関があるか探しましょう。


② 先進医療を受けるためには「同意書」が必要

先進医療は、有効性や安全性の側面から保険適用の検討段階にあること、そして医療費が全額自己負担になるため、高額となる治療法もあります。
そのため、医療機関は患者に対して、先進医療の治療法の説明だけでなく、先進医療の仕組みについても十分に説明しておく必要があります。
その説明に納得した患者本人が同意書に署名することで、初めて先進医療を受けることが可能となります。

③ 領収書は大切に保管しておく

先進医療を受けた後は、その「先進医療に関わる医療費」、「健康保険適用の治療と共通する治療費の一部負担金」、他にも、入院費用や食事費用、差額ベッド代などが記載された領収書が必ず病院から発行されます。
発行された領収書は、医療費控除の手続きをする場合に提出が必要となります。領収書はなくさないように、必ず大切に保管しておきましょう。

6.先進医療に備えた医療保険について

医療保険やがん保険には、先進医療特約を付加できる保険があります。
先進医療特約の保障対象となる先進医療は、その「治療を受けた時点で先進医療と承認されているもの」が対象となります。
最初にお伝えした通り、先進医療の種類は日々増減していますが、保険加入時に承認されていない先進医療でも治療を受けた時点で先進医療として認められていれば、保険金が給付されます。


◆先進医療特約の給付金はいくらもらえるの?

まず、給付金の支払われ方には2種類あります。

一つ目は、契約時に定めた金額が支払われる「定額払い」と呼ばれるものです。
例えば、保険契約時に日額10,000円の保険金が支払われる医療保険に加入していれば、入院した際に実際にかかった費用が日額8,000円だったとしても、定額の10,000円が保険金として支払われます。

二つ目は、実際にかかった費用を保障する「実損払い」と呼ばれるものです。
先進医療特約は、この「実損払い」に当てはまります。
先進医療と言ってもそれぞれの技術にかかる医療費は異なるため、一律いくらという定額ではなく、それぞれの治療にかかった費用に応じた保険金が支払われます。


◆複数の保険に先進医療特約を付けることはできるの?

同じ保険会社で複数の保険に加入している場合、重複して先進医療特約をつけることはできません。しかし、A社の医療保険と、B社のがん保険にそれぞれ加入している場合は、どちらにも先進医療特約を付けることは可能です。
ただ、保障が重複してしまう可能性もあります。先進医療特約の保険料は比較的安く、月額100円程度のものがほとんどですので、心配な方は両方に付加している方もいらっしゃいますが、どちらか一方につける場合は、がん以外の治療にも適用される医療保険に先進医療特約をつけるケースが多いでしょう。

7.まとめ

いかがでしたか?
先進医療を受けるには条件があるため、実際に受けている患者数は少ないものの、いざという時に治療の選択肢を広げることができます。

民間の医療保険には、先進医療の技術料を保障する特約がありますので、一度ご加入されている保険商品を確認してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者


松田 貴子

2019年、保険テラスを運営する株式会社ETERNALに入社。AFP、証券外務員一種・二種の資格を所有。
現在は、大阪府「保険テラス フレンドタウン深江橋店」にて勤務。証券会社勤務で習得した知識や経験を活かした、お客さまに合った魅力ある質の高い保険プランをご提案。 AFP(日本FP協会認定) 証券外務員一種

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