2026.06.08 更新
この記事のポイント
- 定年退職をする頃には必要な死亡保障額が少なくなっているでしょう。
- 医療保障はなるべく残しておくことをおすすめします。
- ご自身が亡くなったときの整理資金も準備しておきましょう。
定年退職をするころには、子どもが自立し、住宅ローンの返済も終了しているなど、万が一の場合の家族への保障は、それほど必要ではなくなっていることでしょう。
一方で病気になったときの医療費の確保や、死後の整理資金の準備などは必要です。
今回は、定年退職をするときの生命保険の見直しについてご紹介します。
老後に備えて知っておきたいポイントをしっかりと押さえておきましょう。

1.定年退職をするときの生命保険の見直しポイント
1.1 ポイント① 定年退職をするときの死亡保障
子どもが自立し、住宅ローンも完済すると、万が一に備える必要が少なくなり、必要以上に大きい死亡保障は必要なくなります。
ただ、保険を解約すればよいというわけではなく、残された家族(配偶者)が安心して生活していくためには、どれほどの生活費が必要かを考える必要があります。
会社等の団体保険(グループ保険)に加入している方は、退職後も継続して加入できるのか、いつまで加入できるのか、保障内容に変化はあるのか等を事前に確認しておきましょう。
ご自身が亡くなった後に必要な生活費と、現在の保障金額を照らし合わせて、必要以上の保障が付いていたら、減額や払済にする等の見直しをすると良いでしょう。
しかし、減額や払済が全ての保険会社で利用できるわけではありませんので、事前に保険会社や保険代理店に確認しておきましょう。
1.2 ポイント② 病気に対するリスク対策
年齢が高くなるにつれ、病気にかかるリスクは高まるのが一般的です。
医療費負担が増える可能性に不安を感じる方もいるかもしれませんが、日本の公的医療保険には高額療養費制度という仕組みがあります。これを利用すれば、ひと月あたりの自己負担額に上限が設けられているため、医療費の負担が際限なく膨らむわけではありません。
ただし、ここで注意したいのは、自己負担の上限額は年齢や所得水準によって異なるという点です。ご自身がどの上限額に当てはまるかを確認しておくことが大切です。
| 【69歳以下の人】 | |||
| 適用区分 | ~2026年7月 ひと月の上限額(世帯ごと) | 2026年8月~2027年7月 ひと月の上限額(世帯ごと) | |
| 1 | 年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超 | 252,600円+(医療費-842,000)×1% | 270,300円+(医療費-901,000)×1% |
| 2 | 年収約770~約1,160万円 健保:標報53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% | 179,100円+(医療費-597,000)×1% |
| 3 | 年収約370~約770万円 健保:標報28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% | 85,800円+(医療費-286,000)×1% |
| 4 | ~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下 | 57,600円 | 61,500円 |
| 5 | 住民税非課税世帯 | 35,400円 | 36,900円 |
| 【70歳以上の人】 | |||
| 適用区分 | ~2026年7月 ひと月の上限額(世帯ごと) ※外来は個人ごと | 2026年8月~2027年7月 ひと月の上限額(世帯ごと) ※外来は個人ごと | |
| 現役並み | 年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 課税所得:690万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000)×1% | 270,300円+(医療費-901,000)×1% |
| 年収約770~約1,160万円 健保:標報53万円以上 課税所得:380万円以上 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% | 179,100円+(医療費-597,000)×1% | |
| 年収約370~約770万円 健保:標報28万円以上 課税所得:145万円以上 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% | 85,800円+(医療費-286,000)×1% | |
| 一般 | 年収約156万~約370万円 健保:標報26万円以下 課税所得:145万円未満等 | 57,600円 (外来:18,000円/年144,000円) | 61,500円 (外来:20,200円/年216,000円) |
| 住民税非課税等 | Ⅱ住民税非課税世帯 | 24,600円 (外来:8,000円) | 25,700円 (外来:11,000円/年96,000円) |
| Ⅰ住民税非課税世帯 (年金収入80万円以下など) | 15,000円 (外来:8,000円) | 15,700円 (外来:8,000円) | |
高額療養費制度は、2026年8月から段階的に改正される予定です。同年8月には月額の自己負担限度額が所得区分に応じて引き上げられるとともに、新たに年間上限が設けられます。さらに2027年8月には所得区分の細分化が行われる予定です。最新の上限額については、ご自身が加入する健康保険組合や協会けんぽ、市町村などにご確認ください。
なお、公的医療保険の対象とならない費用は、高額療養費制度の対象にもなりません。例えば、入院した際の差額ベッド代や食事代、先進医療を受けた際の技術代などが挙げられます。これらの費用は、全額自己負担となる点に注意しましょう。
がんなどの大きな病気にかかる可能性も高くなり、長期の入院が必要になることもあるので、医療保障はなるべく残しておくことをおすすめします。
また、現在の医療事情に合った内容であるかどうかも確認しておきたいところです。
1.3 ポイント③ ご自身が亡くなったときの整理資金準備
ご自身が亡くなられた場合には、葬式費用や埋葬料などの整理資金が必要になります。
貯蓄で備えられている方もいらっしゃいますが、銀行口座に入っているお金は相続財産となりますので、遺産分割の対象であり、相続税の課税対象となります。
ご自身が亡くなられたことを銀行側が把握した時点で口座が凍結された場合には、相続人であっても簡単には引き出せなくなってしまいます。
また、生命保険で死後の整理資金に備える方法もあり、保険金には非課税枠が設けられています。
≪非課税限度額の計算式≫は、
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
です。相続税の課税対象となる生命保険の死亡保険金で、この金額を超える部分が他の相続財産と合算されて、相続税が計算されます。
今まで貯蓄だけで備えてきた方は、生命保険にも加入し、整理資金に備える方法も検討されてはいかがでしょうか。
1.4 ポイント④ 定年退職後の介護への備え
介護が必要になった場合を考え、費用面の備えも検討しましょう。要支援・要介護と認定されると公的介護保険から介護サービスを受けられますが、サービス費の1~3割分は自己負担です。
施設に入ると、入居費用もかかります。自宅で介護を受ける場合、身体的な状態によっては、住居に手すりなどの備え付け、リフォーム、など、まとまった額の出費が発生する可能性もあるでしょう。
生命保険文化センターの調査では、介護が必要になった場合の一時的な費用が平均47万円、月々かかる費用が平均9万円というデータがあります。介護期間が平均4年7か月であるため、合計すると約542万円かかる計算です。 [注1]
この金額はあくまで平均額と平均介護期間に基づく単純計算です。実際には、もっと抑えられる可能性もあれば、逆に増えてしまう可能性もあります。予想以上に介護費用がかかると、老後生活資金が不足するかもしれません。そこで、要介護状態になったときに給付金を受け取れる民間の介護保険に加入しておくと、介護費用が必要になったときにも対応しやすくなります。
[注1] 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査(二人以上世帯)」
1.5 ポイント⑤ 保障期間の見直し(定期型から終身型へ)
保障期間が定期型になっている場合には、可能であれば終身型への見直しをおすすめします。保険会社の多くは、死亡保険、医療保険、介護保険のいずれも終身型に対応しています。
定期型は保険期間満了時に更新することもできますが、更新可能な年齢の上限が決められているのが一般的です。生存中に保障が切れてしまう点が不安な場合は、終身型を選んでおくと安心です。
2.定年退職後に保険を選ぶときの注意点
定年退職後の保険選びでは、特に以下の点に注意しましょう。
2.1 定期型は更新時に保険料が上がる
定期型の保険を更新する場合、そのときの年齢および保険料率で保険料が再計算されます。保険料は高齢になるほど高くなるので、更新によって保険料が上がるケースが一般的です。場合によっては、保険料負担が家計を圧迫し、準備していた老後生活資金が不足してしまう可能性も考えられます。高齢になってからの定期型の保険は、現役世代よりも慎重に検討することが大切です。
2.2 健康状態によっては新たに保険へ加入できない場合がある
保険に加入する際には健康状態の告知または診査が必要(無選択型保険を除く)であり、健康状態によっては加入できない場合があります。健康状態に問題がないうちに保険の見直しをしておくことが大切です。
2.3 見直す場合は新しい保険が成立してから古い保険を解約する
保険の見直しで新たな保険に加入し直す場合には、新たに申し込んだ保険契約が成立したのを確認してから既存の保険を解約することが大切です。先に解約をしてしまうと、万一、健康状態の問題などで新たな保険に加入できなくなったときに保障がなくなってしまいます。

3.まとめ
これからのセカンドライフを充実して過ごすためには、しっかりと老後に備えることが大切です。
今加入している保険の保障内容がどういう状態なのかを確認し、必要に応じて保険の見直しをしましょう。死亡・医療・介護の保障のどれも、定年退職後の保険見直しには考慮すべきポイントがあります。見直し後の内容に不足や不安を残さないためにも、保険の見直しは保険のプロにお任せください。





































