2020.05.26 更新
実はまだ医療保険に加入していないんです。これまでは「まだまだ健康だし、大丈夫だろう」と思っていたのですが、近ごろの新型コロナウイルス流行のニュースを見ているうちに、『もし今感染して入院してしまったら、どうなるんだろう』という不安が襲ってきて…
なるほど。確かに、いつ自分の身に降りかかるかわからないことですので、心配になりますよね。ちなみに、新型コロナウイルスの検査費や治療費が、現時点でどれくらいかかるか、ご存じですか?
う~~ん、テレビで聞いたことがあるような…でもよくわかっていません。
また、新型コロナウイルス感染症で入院したり万が一のことがあった場合、あるいは何らかの損害が出た場合、民間の保険でも、保障が出る場合と保障が出ない場合があるんです
そうなんですか?それは、ぜひ詳しく教えてください。
■ 目次
・1.検査・治療における医療費はどれくらい?
・2. 「保障される保険」と「保障されない保険」
・3.まとめ
本記事では、新型コロナウイルスへの感染による入院リスクに対して不安を感じている30代男性の相談内容をもとに、新型コロナウイルスに感染した場合の治療費、その場合に保障対象となる保険・ならない保険などについて、解説していきます。
1.検査・治療における医療費はどれくらい?
2020年1月に初めて中国武漢市で第一感染者が発見されて以降、日本をはじめ世界中に感染が拡大し、3月下旬になっても、収束の兆しが見えない『新型コロナウイルス感染症』。治療薬やワクチンの開発がまだ出来ていない(※2020年3月23日時点)ことや、イタリアなどで重篤患者が急増し医療崩壊が起こっているなど、深刻なニュースを日々目にしていると、「もし自分がコロナウイルスに感染してしまったら…」と不安になられている方も多いと思います。
また、新型コロナウイルス感染症については、潜伏期間が長いことや、感染力が高いといわれており、もし感染したら、「検査費用はいくらくらいかかるのか?」「治療費はどれくらいかかるのか?」ということも、不安材料のひとつではないでしょうか。
ここでは、新型コロナウイルスの感染有無を確認するための検査費用、また、感染していた場合の治療費についてみていきたいと思います。
◆新型コロナウイルスに感染したら…治療費はどれくらい?
では、実際に感染したら、治療費はどれくらいかかるでしょうか?
実は、新型コロナウイルス感染症を原因とする入院や手術などの治療費は、現在のところほぼかからないといえます。
まず、新型コロナウイルスは、厚生労働省より1月28日に「指定感染症」に指定する政令が出され、2月1日より施行されています。
日本には、「感染症法」という、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律があります。感染症法では、感染力の強さや症状の重さなどに応じて、感染症を「一類感染症」「二類感染症」「三類感染症」「四類感染症」「五類感染症」「指定感染症」「新感染症」の7種類に分類しています。
これらの感染症は、診断されると病院は保健所に届け出を提出する必要があり、その流行具合に応じて、患者さんへの入院措置や隔離、建物の立入制限や消毒などを、国が講じることができます。
このうち「指定感染症」とは、
となっています。
つまり、まだ感染症法に指定されていない感染症のうち、一時的(※通常は1年)に、感染症法に指定された感染症と同じ対応措置を行うことができる感染症のこと。感染の流行状況を見たときに迅速に対応しなければならない場合に、政令が出されるのです。
実は、この「指定感染症」に指定された感染症の治療費については、公費で負担されるのです。
例えば、現役サラリーマンの方がなんらかの治療を受けた場合、通常であれば医療費は3割負担となります。しかし、新型コロナウイルスで入院が必要になった場合は、その医療費についての自己負担額は軽減されます。
ただし、公費負担については、各自治体によって助成金額が異なります。例えば、東京都であれば世帯が負担する所得税額が56万4千円を超える場合は、月額2万円を限度として、一部負担がある、とされているようです。
とはいえ、今新型コロナウイルスと診断され入院措置が取られた場合も、治療にかかる自己負担額がそれほど大きくなることはないといえるでしょう。
◆新型コロナウイルスかも…検査したいけれど、検査費はどれくらい?
では、新型コロナウイルスかどうかを判断するための、検査費用はどれくらいかかるのでしょうか?
新型コロナウイルスの検査について、現在は「PCR検査(遺伝子検査)」が実施されています。この「PCR検査」において、3月6日から公的保険の適用が開始されました。厚生労働省から発表された検査一回あたりの費用は、以下のように決められました。
ただし、この発表の中には、
「同検査を実施する医療機関に対して、都道府県等から行政検査を委託しているものと取り扱い、当該検査費用の負担を本人に求めないこととする」
とも記載されています。つまり、通常であれば1~3割の自己負担額がかかる検査ですが、行政検査にあたるPCR検査は、公費負担となり、実質患者側の自己負担額は無料となります。
2.新型コロナウイルス感染により、 「保障される保険」と「保障されない保険」が知りたい!
新型コロナウイルスが疑われた場合に受ける検査費、感染していた場合の治療費については、公費負担になることがわかりました。
では、万が一新型コロナウイルスに感染して入院したり亡くなられたりした場合、民間の生命保険は保険金が給付されるのでしょうか? また、最近ではイベントやコンサートなどが相次いで開催中止になっていますが、今回のような感染症によるイベント中止、営業休止などに関して、企業向けの保険は補償対象になるのでしょうか?
ここでは、民間保険のうち、保障(補償)される保険と、保障(補償)されない保険について、みていきたいと思います。
◆保障(補償)される保険は、どんな保険?
①疾病を保障する保険
生命保険・損害保険ともに、“疾病”を保障する保険があります。生命保険であれば「医療保険」「死亡保険」「就業不能保険」など、損害保険であれば「団体総合生活保険」「所得補償保険」などです。
このようなタイプの保険は、入院した際や亡くなられた際に保険金が支払われる保険ですので、新型コロナウイルス感染症が原因だった場合も、加入している保険商品の支払い条件を満たせば、原則通りに保険金は支払われるでしょう。
*ここに注意!*
ただし、「実費型の医療保険」については、「実際にかかった医療費」に対する補償になりますので、今回のように、「公費負担のため、実質治療費が無料」という場合は、保険金は支払われない可能性があります。細かな条件は保険商品によって異なりますので、確認が必要でしょう。
*4/14追記*
現在、保険会社各社から、「新型コロナウイルスに感染した方が医療機関の事情により臨時施設や自宅等で治療を受けられる場合にも、医療機関の証明書を提出することで、入院給付金の対象として取り扱うことがリリースされています。さらに、保険会社によっては、新型コロナウイルスと診断された方に、お見舞金を給付する会社もあります。受給するには条件がありますので、詳しくは保険会社窓口や保険テラスなどの専門ショップにお問合せください。
②海外旅行保険
海外旅行保険についても、ケガだけではなく感染症を含む疾病などについて保障されるため、旅行期間中、または帰国した後に新型コロナウイルスに感染し治療を受けた場合や、それが原因でお亡くなりになった場合なども、保険金の支払い対象となります。
*ここに注意!*
多くの海外保険の場合、「旅行期間中、または旅行期間終了後72時間以内に発病した病気」による治療や死亡が支払い対象となっています。
今回の新型コロナウイルスの場合、潜伏期間は1~12.5日で、多くの場合は5~6日(※厚生労働省)とされており、「旅行期間終了後72時間以内に発病」という条件に当てはまらないケースも。
また、外務省から「渡航中止勧告」、「退避勧告」が発令され、旅行がキャンセルとなった場合や、途中で帰国するとなった場合も、支払い対象になります。
ただし「勧告が発出された後に、該当する国の旅行に申し込んだ場合」、「勧告が発出される前に旅行をキャンセルした場合」などは、支払い対象外になるケースもあります。
いずれにしても、細かな条件などは保険会社によって異なりますので、しっかりと確認してから加入するようにしましょう。
③従業員の労災を補償する保険
企業が従業員に対して補償金、賠償金を支払らう場合に補償される保険で、「労働災害総合保険」などがあります。
企業から指示された業務期間中の感染や、職場が中心的な感染源であるなどで労災認定が下りた場合、保険金の支払い対象となります。
◆保障(補償)されない保険は、どんな保険?
①災害入院給付金、災害死亡保険金
災害入院給付金、災害死亡保険金は、不慮の事故や所定の感染症により入院した場合や亡くなられた際に支払われる保障です。
多くの保険会社の場合、これらの保険金が支払われる「所定の感染症」は、感染症法における「一類感染症」「二類感染症」が給付対象となっており、前述のとおり、新型コロナウイルスは該当しません。そのため、保険金支払いの対象外となるケースが多いようです。
*4/28追記*
災害入院給付金、災害死亡保険金については当初保障の対象外とされていましたが、4月中旬以降から、各保険会社が、新型コロナ感染症による死亡や高度障害等になられた場合も、災害入院給付金、災害死亡保険金等の給付対象となるということを発表しています。
保険会社によって対応が異なりますので、詳しくは保険会社窓口や保険テラスなどの専門ショップにお問合せください。
②傷害を補償する保険
損害保険会社が販売している「傷害保険」は、ケガを補償する保険です。
新型コロナウイルス感染症は“傷害”に該当しないため、保険金の支払い対象外となります。
また、新型コロナウイルスは「指定感染症」に指定されましたが「一類型感染症」「二類型感染症」「三類型感染症」には該当しないとされています。
そのため、特定感染症を補償する特約を付けていた場合においても、保険金の支払い対象にはならないケースが多いため、注意が必要です。
③休業損失を補償する保険
今、各都道府県で自粛要請が出ており、観光地や普段はにぎわっている飲食店でさえも、お客さんの数が激減しています。また、新型コロナウイルスと診断された方が訪れたお店やスポーツジムなどは、感染リスクがあるため休業を余儀なくされています。
このような思わぬ事故・感染症等で「休業」してしまった際の損害を補償する保険には「事業活動総合保険」「企業財産包括保険」「賠償総合保険」などがあり、各保険商品では、所定の感染症によって休業損害が発生した場合に補償される特約がついています。
しかし、こちらについても、新型コロナウイルスは「所定の感染症」に含まれておらず、補償されないケースが多いようです。
*ここに注意!*
ただし、保険会社の中には、商品・特約によっては、新型コロナウイルスのような「指定感染症」までが補償対象になっている商品もあります。事業主の方は、ぜひ一度ご自身の加入している保険を確認してみてください。
④興行中止保険
通常、イベントを主催する企業は、悪天候や出演者の予期せぬケガや病気による出演不能、突発的な事故などでイベントが開催できなかった場合に備えて、「興行中止保険」という保険に加入します。
現在、コンサートや演劇などのエンターテイメント、スポーツ観戦など、多くの人が集まるイベントは集団感染のリスクが高いため、相次いで中止になっていますが、今回の場合も補償対象になるのでしょうか?残念ながら、感染症によるイベント中止に伴う損害については、保険金支払いの対象外となり、今回のケースも残念ながら保険金は支払われません。
◆その他、注意しておくことは?
民間保険に加入されていた場合、「支払われる保険」と「支払われない保険」があるということがわかりました。今一度しっかりとご自身の保険を確認する必要があります。
また、意外と知られてないことですが、民間保険の場合、過去に診断された病気については、
“特定部位不担保”や“特定疾病不担保”が付く場合があります。
・過去5年以内に病気やけがで入院したことがある
・過去5年以内に病気で医師に診断・検査・治療・投薬を受けたことがある
などが条件としてあり、例えば、今「肺炎」と診断されてしまった場合、これから医療保険を検討しようとした際に、「肺炎で入院・手術しても、一定期間の間、保障されませんよ」などといった制限が付くケースがあります。
こちらも、各保険会社の商品規定によって条件が異なりますが、もし今保険を検討されている方は、こういったケースもあるということも、念のため頭に入れておきましょう。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
世界中で、毎日のように感染者が増加している新型コロナウイルス。
まだまだ予断を許さない状況ですので、「いつ自分が感染してもおかしくない」という意識を常にもち、日々生活することが大事です。
一方で、根拠のない情報もあちこちで出回っており、「どの情報を信じたらよいんだろう?」と不安になりますよね。
保険テラスは全国に保険やお金にまつわるご相談ができる窓口を展開しておりますので
保険やお金について少しでも不安がある方、聞きたいことがある方は、
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