2019.12.05 更新
*この記事のポイント*
● 生命保険で財産を残すことは、節税につながります。
●生命保険で財産を残した場合、実際にどれくらい節税につながるか、計算してみましょう。
●相続の際に起こるトラブルを回避するために、生命保険を上手に活用しましょう。
もしご家族が亡くなったら…故人との別れを悲しむ間もなく、考えなければならない現実問題として、遺産相続があります。
故人がどれくらいの遺産があり、どう分配するか?遺言はあるか?相続税はどれくらいかかる?など、遺された家族で話し合いが必要です。
「納税資金が用意出来ない」「相続人の間での遺産争い」などは、相続の際にもっとも多いトラブル。
そんなトラブルを起こさないよう、円滑に遺産相続を進めるためのひとつの方法として、生命保険を活用できることをご存知ですか?
1.生命保険で財産を残すことは、節税につながる!
遺産相続の際、基礎控除額以上の遺産を相続する時には相続税を支払う必要があります。
2015年以降、相続税の課税強化が行われ、それまでの基礎控除(5,000万円+法定相続人×1,000万円)から、(3,000万円+法定相続人×600万円)に変更になりました。
国税庁が発表した「平成27年分の相続税の申告状況について」によると、平成26年分の4.4%から8%と大幅に増加したとのこと。
相続税を払う対象になる人が、倍近く増えたという事です。
できるだけ税金は少なくしたいものですよね。
そんな節税対策の一つとして生命保険は有効に活用できます。
生命保険金を受け取るときにかかる税金の話でもお話ししたように、生命保険には「遺された家族の生活を守る」という大切な目的があるため、受け取る保険金のうち【法定相続人の人数×500万円分】は非課税対象になります。
では、実際に現金で準備した場合と、生命保険で準備した場合、課税額にどれくらいの違いが出るのでしょうか。
Case.1 Aさん一家の場合(生命保険未加入)
STEP.1課税価格の計算
STEP.2課税遺産総額の計算
課税価格 : 9,500万円 - 基礎控除額(3,000万円 + 3人 × 600万円)= 4,700万円
STEP.3相続税の計算
① STEP2で算出した課税遺産総額を、法定相続分(※)通りに相続したと仮定して、3人それぞれの取得金額を出していきます。
(※)法定相続分とは…法で定められた、法定相続人の相続順位による相続分のこと。
妻:4,700万円×1/2 = 2,350万円
子供1:4,700万円×1/2×1/2 = 1,175万円
子供2:4,700万円×1/2×1/2 = 1,175万円
② ①の取得金額に基づき、相続税の税額速算表により相続税を算出します。
妻:2,350万円×15%-50万円 = 302万5,000円
子供1:1,175万円×15%-50万円 = 126万2,500円
子供2:1,175万円×15%-50万円 = 126万2,500円
合計すると、相続税の総額は555万円になります。
ただし、妻については配偶者の税額軽減により、1億6000万円のまでは実質非課税になるため、相続税の総額は252万円5000円になります。
Case.2 Bさん一家の場合(死亡保険に加入)
STEP.1課税価格の計算
生命保険の非課税対象額=法定相続人の人数×500万円
3人 × 500万円 = 1,500万円分が、非課税金額として控除されます。
STEP.2課税遺産総額の計算
課税価格:8,000万円 - 基礎控除額(3,000万円+3人×600万円) = 3,200万円
STEP.3相続税の計算
① STEP2で算出した課税遺産総額を、法定相続分通りに相続したと仮定して、
3人それぞれの取得金額を出していきます。
妻:3,200万円×1/2 = 1,600万円
子供1:3,200万円×1/2×1/2 = 800万円
子供2:3,200万円×1/2×1/2 = 800万円
② ①の取得金額に基づき、相続税の税額速算表により相続税を算出します。
妻:1,600万円×15%-50万円 = 190万円
子供1:800万円×10% = 80万円
子供2:800万円×10% = 80万円
合計すると、相続税の総額は350万円になります。
ただし、妻については、配偶者の税額軽減により、1億6000万円までは実質非課税になるため、相続税の総額は160万円になります。
252万円5,000円-160万円=92万5,000円 相続税の差額、92万5,000円!
≪相続税の税額速算表≫
2.他にもある!生命保険を活用した遺産相続のメリット
また、節税対策のほかにも、生命保険を活用した相続には良い点があります。
1.手続きしてから1週間前後で、現金として受け取れる
通常、銀行口座は名義人が死亡したことを金融機関が知った場合、凍結されてしまいます。
もし口座から引き落とす前に凍結されてしまった場合、解除するには様々な手続きが必要でかなり面倒なうえ、時間がかかります。
特に一家の大黒柱が亡くなった場合など、当面の生活費や葬儀費用など、すぐに必要なお金があるのにおろせない…といったトラブルにつながることも。
生命保険の場合、保険金請求から1週間前後で保険金を現金で受け取れ、「受取人の財産」としてすぐに使うことができるのです。
2.遺産分割協議の対象外になる
遺産は相続人全員の共同財産。相続遺産をどのように分けるか、「遺産分割協議」を相続人全員で行う必要があります。
しかし、生命保険は「受取人固有の財産」となるため、協議の対象外になります。
トラブルを避けるために遺言書を残しておくのも一つですが、生命保険を活用するのも賢い方法ではないでしょうか。
3.まとめ
遺されたご家族の心身の負担を少しでも軽減するために、ご遺族ができるだけスムーズに、そして負担なく相続できるよう、今のうちから対策を考えておくのはいかがでしょうか。
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