保険コラム

「患者申出療養」ってどんなもの?~4月からスタートした新しい仕組みを知ろう!~

医療
2016年 11月07日

医療
2016年 11月07日
「患者申出療養」ってどんなもの?~4月からスタートした新しい仕組みを知ろう!~

患者申出療養とは
ポイント
  • 患者申出療養は、2016年の4月からスタートした制度です。
  • この制度は、患者からの申出をもとに審査を行い、より身近な医療機関で未承認薬などの先進的な医療を受診できるようにするというものです。
  • 患者申出療養として認められると、健康保険の範囲内の医療費については3割負担となりますが、健康保険の範囲外の医療費については全額自己負担となります。
2016年4月から「患者申出療養」という健康保険適用外の治療に関する新しい制度がスタートしました。10月には初の適用例が認められ、ニュースにもなったため、聞いたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。
まだ始まったばかりの、患者申出療養。一体どのような制度で、どのような場合に適用ができるのでしょうか。このコラムでは、新制度の概要についてお伝えします。

患者申出療養ってどんな制度?

患者申出療養とは
患者申出療養とは、未承認薬などの先進的な医療を「保険外併用療養」として使用したいという患者の方からの申出を受けて、安全性・有効性などを確認したうえで、できる限り身近な医療機関で受けられるようにするための制度です。
患者申出療養のメリット
たとえばがんの治療などで国内ではまだ承認されていない新薬を使用したいと思った場合、通常はその薬代・治療費が全額自己負担となるだけでなく、入院料や他の技術料などもすべて自己負担となります。日本では原則として「健康保険の範囲内の診療」と「健康保険の範囲を超えた診療」が同時に行われた場合、一連の診療の費用が「自由診療」として健康保険適用外となるためです。
しかし、患者申出療養としての承認を受けることができれば、「健康保険の範囲を超えた部分」自体は全額自己負担となりますが、「健康保険の範囲内の診療」については健康保険の適用となり、3割負担で受けることができます。これを「保険外併用療養」といいます。
「患者申出療養」と認められることによって通常の診療の部分についての自己負担額が軽減されるため、まだ健康保険の適用になっていない新しい薬や治療方法を受けたいという切実な想いを持った患者の方にとって、治療の選択肢が広がることが期待されています。

≪健康保険適用外の「自由診療」を受ける場合≫

健康保険適用外の「自由診療」を受ける場合

先進医療と患者申出療養の違い

先進医療と患者申出療養の違い
以前からあった「先進医療」と今回スタートした「患者申出療養」はどちらも、保険外併用療養制度に含まれる制度です。実際にはどのようなところに違いがあるのでしょうか。

≪先進医療≫

医療機関が主となり、先進的な医療を実施

・厚生労働大臣が定めた高度の医療技術を用いた療養(平成28年9月1日現在101種類)
・厚生労働省に承認された医療機関でのみ受けることができる
・対象となる患者の基準が定められている

≪患者申出療養≫

患者の申出によって、未承認薬などの使用について安全性が確認された上で、身近な医療機関において実施

・患者がかかりつけ医などに相談した上で、「臨床研究中核病院」を通して申請を行う
 (原則として6週間、前例がある医療の場合は2週間で審査が行われる)
・実績があり、リスクが低い治療法については身近な医療機関で受けることができる
・患者から申出のあった医療技術について、その時点の患者の病状に対して有効性・安全性から判断される

先進医療は、国が主となって定めるものであることに対し、患者申出療養は患者がかかりつけ医などのアドバイスにより申出を行うことが最大の違いです。また、患者申出療養の特長として、審査期間が短いこと、対象者となる患者の範囲が広がることも挙げられます。

どのようなケースが対象となるの?

実際には、どのようなケースで患者申出療養を行うのでしょうか。

≪患者申出療養を申出るのはどんなとき?≫

① 治験、先進医療、患者申出療養のいずれも実施していない医療を実施してほしい場合
② 先進医療で実施しているが、実施できる患者の基準に外れてしまった場合
③ 先進医療で実施しているが、自分の身近な保険医療機関で行われていない場合
④ すでに実施されている患者申出療養が自分の身近な保険医療機関で行われていない場合 など

出典:厚生労働省「患者申出療養の概要について」

2016年の9月21日に、東京大学医学部付属病院で初めて実施が認められた「患者申出療養」は、②のケースに当てはまると言われています。※治療内容は進行した胃がんへの抗がん剤投与(「パクリタキセル腹腔投与および静脈内投与並びにS-1内服併用療法」) 
今後、このような先進医療で実施できる患者の基準に外れてしまった場合や、がんの未承認薬などの治験・先進医療で実施されていない医療についての申請が増えてくると考えられています。

≪患者申出療養を受けたいと思った場合は?≫

まずは、かかりつけ医など、身近な医療機関にご相談ください。ご自身の病状に合った治療法について、よく相談していただくことが必要です。
まずは、かかりつけ医など、身近な医療機関にご相談ください。ご自身の病状に合った治療法について、よく相談していただくことが必要です。
患者申出療養がスタートしたことにより、これまでは先進的な医療を受けたいと希望しても受診することができなかった患者の方が、より早期に、身近な医療機関で、希望する保険適用外の治療を受けられる可能性が広がりました。
ただし、患者申出療養が認められても、未承認薬(保険診療の対象外)の金額など、保険適用されていない部分については、自己負担となります。そのため、新たに患者申出療養に対応する保険も開発されています。
医療制度は時代に合わせて変化していますので、気になる情報はぜひ日々チェックしておきましょう。

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